【ニュースレターが届かない場合】無料会員の方でニュースレターが届いていないというケースが一部で発生しております。
届いていない方は、ニュースレター配信の再登録を致しますので、お手数ですがこちらのリンクからご連絡ください。

国土強靱化 次期5年で20兆円強 政府が中期計画を決定

2025/06/08
更新: 2025/06/08

政府は6月6日、首相官邸で国土強靱化推進本部(第23回)を開催し、2026年度(令和8年度)からの5年間を対象とする「第1次国土強靱化実施中期計画(案)」と国土強靭化年次計画2025について決定した。

中期計画の総事業規模は5年間で20兆円強となる見通しで、老朽化した上下水道施設の戦略的な維持管理・更新や、防災庁の設置など、災害に強い国づくりを目指す114の重点施策を「特に必要となる施策」として集中的に実施する方針だ。年次計画2025は、これまでの「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」と新たな中期計画を切れ目なく推進するために策定されたものである。現在進行中の5か年加速化対策の進捗を評価し、自然災害への対応や迅速な救助・救急、行政機能の確保など、2025年度に取り組むべき具体的な施策が示されている。

会議取りまとめを行う石破首相(提供:首相官邸)

今回の中期計画は、これまでの「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」に続くもので、各府省庁が推進する326の施策のうち、上下水道施設の老朽化対策や災害対策の司令塔となる防災庁の設置など114施策を重点化した。計画では、ハード(インフラ整備)とソフト(制度や人材、情報インフラなど)の両面から対策を講じる。特に、能登半島地震による長期断水や、埼玉県八潮市で発生した下水道管の腐食による道路陥没事故など、近年の災害やインフラ事故を踏まえ、インフラの老朽化対策に重点が置かれている。

防災庁の設置については、政府が2026年度中の設置を目指しており、来年の通常国会に関連法案を提出する方針だ。防災庁は内閣直轄の組織とし、専任の大臣を置くほか、各府省庁への勧告権を持つなど、災害対応の司令塔機能を強化する。地方拠点の設置や、地域の実情に応じた防災体制の支援強化も検討されている。

計画の5本柱は、防災インフラの整備・管理、交通・通信・エネルギーなどライフラインの強靱化、新技術の活用、官民連携の強化、地域防災力の強化である。事業規模の内訳は、防災インフラ整備・管理が約5.8兆円、ライフライン強靱化が約10.6兆円、新技術の活用が約0.3兆円、官民連携強化が約1.8兆円、地域防災力強化も約1.8兆円とされている。

政府は、南海トラフ地震など大規模災害の発生リスクが高まる中、今後20~30年を見据え、ハード・ソフト両面の施策を効果的に組み合わせて着実に取り組む考えだ。特に、災害情報や資機材の充実、避難所やボランティアの環境整備などは、5年間の計画期間中のできるだけ早期に完了させる方針である。

この中期計画の内容は、2026年度予算の概算要求にも反映される予定だ。政府は関係府省庁が一丸となって、国民の命と財産を守るため、国土強靱化の取り組みを強力に推進していくとしている。

エポックタイムズの速報記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。