中国経済の冷え込みが続くなか、各業界に「ノルマ地獄」とも言える過剰な成果主義が蔓延し、中でも銀行業界では、消費者向け融資のノルマ達成をめぐり、行員同士が「貸したふり・借りたふり」をする異常な実態(中国語:互換貸款)が広がった。
SNS上では、こうした「偽装ノルマ」に協力してくれる相手を募る投稿が目立ち始めており、条件として「勤務歴1年以上」「住宅積立金の納付済み」といった要件が記されることもある。ただの助け合いではなく、ノルマ未達なら減給・査定ダウンが待ち受けるという、現場のサバイバル戦だ。
エポックタイムズの独自取材により、その過酷な実態を明らかにした。河南省の農村商業銀行に勤務する行員・李さんは「窓口係の自分にも消費者ローンの勧誘ノルマが課せられていて、達成できないときは、親戚や友人に頭を下げて協力してもらうしかない。銀行は、達成手段など問わず、とにかく“結果”だけを求めてくる」と明かす。さらに李さんは、「週ごとのノルマがあり、1週間で達成できなければ300元(約6000円)が給与から天引きされる」と、そのプレッシャーの厳しさを吐露した。
また、大手銀行の一部でも、四半期末に数字を“調整”するため、自腹で金利分を補填してまで融資成立を装うケースが確認された。
こうした実態に対し、銀行側は黙認の姿勢を崩さず、見て見ぬふりを決め込み、融資の本来の目的が薄れ「数字のための数字」が一人歩きする構造が、今や業界全体に根を張りつつあった。
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