北海道虻田郡倶知安町巽地区で、約3.9ヘクタールに及ぶ大規模な森林伐採が無許可で行われていた問題が発覚した。現場は、日本百名山の一つで「蝦夷富士」とも呼ばれる羊蹄山の麓に位置し、豊かな自然と景観が特徴の地域である。
この開発は、中国籍とみられる人物が発注し、札幌市の建設会社が請け負って住宅2棟の建設を進めていた。2023年春ごろから伐採が始まり、必要な届け出や許可を道や町に提出しないまま工事が進行していた。北海道は2023年8月に伐採を確認し、2024年11月から2025年1月までの間に計7回、林地開発に必要な図面の提出を事業者に求めたが、全て無視された。
2025年6月4日、北海道は現地調査を実施し、森林法で定められた1ヘクタールの4倍近い無許可伐採を確認。翌5日には工事の中止勧告と復旧計画書の提出を指示し、9日に事業者から「6月中に2.7ヘクタールを植え直す」とする復旧計画書が提出された。残り1.2ヘクタールについては「検討中」とされている。
この問題について、鈴木直道北海道知事は6月13日の記者会見で「悪質性があると思う。手続きがなされていないのは遺憾。無秩序に開発が行われないよう、森林伐採や土地開発に関わるルールの徹底をしていく」と述べた。また、「行政権限は法律によって定められており、感情論ではなく法の範囲内で対応する。法律を超えた対応は現実的ではなく、逆に訴えられる可能性もある」と強調した。
道は今後、提出された復旧計画書通りに植樹などが実施されるか確認を続ける方針である。また、今回の開発が都市計画法など他の法律にも違反していないか調査を進めている。
一方で、建築主とされる外国籍の人物とは行政側が一度も接触できていない状況が続いている。住宅の建設自体も建築基準法に基づく事前の確認申請がなされていなかったことが判明しており、行政手続きの徹底が改めて課題として浮き彫りになっている。
今回の無許可伐採は、北海道の自然環境保全や法令順守の観点からも大きな問題となっている。道は引き続き、厳正な対応と再発防止策の徹底を求めていく構えである。
安全保障の観点から体制整備が急務
内閣官房のウェブサイトに「国土利用の実態把握等のための新たな法制度の在り方について 提言(2020年12月24日 国土利用の実態把握等に関する有識者会議)」が掲載されており、そこには次のように書かれている。
「調査の結果、仮に、安全保障の観点から、土地の不適切な利用実態が明らかに なったとしても、現状では、政府として、個別の法令に基づき、その利用行為自 体の是正を図ることを除けば、当該土地の所有者に対し、任意での買取りの提案を行うことしかできないといった課題もある。こうした状況に鑑みると、まずは、政府として複数の関係省庁等が所有する情報を一元的に集約・管理し、的確な分析を行う体制及び仕組みを整備した上で、それより高度な分析を行えるものとするよう、不断に強化していくことが必要である。そして、仮に、安全保障の観点から、不適切な利用実態が明らかになる、 又は、そうしたリスクが顕在化する可能性が高い状況が明らかになる場合には、土地の不適切な利用を是正する、あるいは、未然防止するといった、実効的な枠組みを整備することが求められる」
近年、ますます外国人の土地取得や開発が懸念されている。特に中国共産党の影響を受けている可能性のあるものに国民の懸念は集中している。政府は国民の安全な生活を守るために、上述の有識者会議が提言した「不断の強化」の徹底が今後ますます求められる。
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