中国のモバイルバッテリー大手Anker(アンカー)とROMOSS(ロモス)は6月中旬、国内外で合計200万台以上の製品を自主回収すると発表した。原因は、共通する電池セル供給業者による品質不良で、製品認証(3C認証)の停止・取り消しが相次いでいる。影響は他ブランドにも広がっており、業界全体に波紋を呼んでいる。
Anker、7万台を中国で回収 米国では115万台超
Ankerは20日、中国市場で型番A1642、A1647、A1652、A1680、A1681、A1689、A1257のバッテリー計71万台を回収すると発表した。供給業者による未承認の原材料変更があり、長期間の使用により絶縁膜が劣化し、過熱や発火の恐れがあるという。
同社はアメリカでも、PowerCore 1万モデルを対象に約115万8千台のリコールを実施中で、これまでに19件の発火・爆発事故を確認。
ロモスも49万台を回収 電池供給元の不良が原因
ロモスは6月16日、PAC20-272、PAC20-392、PLT20A-152の3モデル、計49万1745台のモバイルバッテリーを回収すると発表した。いずれも電池セルの原材料に問題があり、過熱や発火のリスクがあることを指摘した。。
問題の電池セルは、無錫市に本拠を置くAmperex Technology(安普瑞斯)が供給していたもので、同社の3C認証は6月を中心にすべて停止または取り消された。
他ブランドにも波及 UGREENやBaseusも影響
中国の認証情報によれば、認証停止の影響はAnkerやロモスにとどまらず、UGREEN(ユーグリーン・绿联科技)やBaseus(ベースアス・倍思科技)など他の大手ブランドにも及んでいる。
たとえば、AnkerのA1680は3月28日に認証取り消し、ロモスの一部モデルは4月29日に一時停止措置が取られている。UGREENやBaseusについても3月末から4月末にかけて問題が発覚している。
発煙事故が航空機内で相次ぐ
ロモス製関与、Anker製品にも注意喚起
モバイルバッテリーの熱暴走(オーバーヒート、激しい負荷がかかる動作をしたことで制御不能な熱を持つ現象)による発煙・発火事故が、中国国内の航空機内で続発している。
6月13日、舟山発・揭陽行きの便でモバイルバッテリーが発煙し、機内に煙が充満。5月31日には、杭州発・深セン行きの便がバッテリー発煙で引き返し。3月20日には、杭州発・香港行きの便でロモス製バッテリーが熱暴走を起こし、緊急着陸する事態となった。
深セン宝安国際空港では、ロモスのリコール対象製品について機内持ち込みを禁止し、重点的な検査を行っている。
大学でもロモス使用禁止 学生に警告通知
航空機内だけでなく、大学構内でも発火事故が報告されており、北京の複数の大学がロモス製モバイルバッテリーの使用を禁止している。
報道によると、2万mAhのロモス製バッテリーは他社製品と比較して爆発リスクが高いため、ただちに使用を中止するよう呼びかけている。
北京聯合大学では実際に自然発火事故が確認されており、中国伝媒大学でも同様の事例が発生している。
Anker製品は日本国内でも広く流通しており、対象モデルが販売されていた可能性が高いため、今後アンカー・ジャパンによる対応が注目される。一方、ROMOSS製品は日本ではすでに販売終了または在庫切れが多く、現在は並行輸入品が中心となっている。Ankerはこれまでも不具合時に自主回収を行ってきた実績があり、今回も国内対応の可能性があるため、ユーザーは自身の製品型番やメーカーからの案内に注意を払う必要がある。
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