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中国 「死ねと言うのか!」──生活苦に怒る市民を警察が弾圧

中国・広東省で年金も医療費もカット  退職した高齢者と退役軍人が集団で抗議 【動画あり】

2025/07/07
更新: 2025/07/07

 

中国・広東省広州市で、年金や医療費の支給を大幅に削減された退職者(高齢者)や退役軍人たちが、政府庁舎前に集まり、「金を返せ!」と集団で抗議を行ったが、当局は大量の警察を動員して弾圧を行ったことがわかった。

本紙は複数の参加者に取材をし、生活実態と政府による圧力の実態を明らかにした。

参加者の多くは生活に困窮しており、声を上げれば警察が自宅を訪れて、威嚇された現実があるようだ。中には、「家の前で毎日警官が張り込んでいる。まるで犯罪者扱いだ」と嘆く市民もいた。

 

(大紀元合成政府庁舎前で抗議する市民(スクリーンショット))

 

本紙の取材に応じた抗議参加者の趙さん(70代・男性)は、月1千元(約2万円)の年金で暮らし、医療費もすべて自己負担だという。「社会保険局と交わした契約には、支給されるべき金額が明記されているのに、それがずっと履行されていない。当初、社会保険に加入する際には契約があり、条件も決まっていたはずだ。本来もらえるべきものなんだ。なのに政府は、契約どおりにやらない。私たちは、この問題を少なくとも4〜5年は訴えてきたが、無視され続けている。中国共産党は本当に無責任だ!」と趙さんは訴える。

また「肉は買えず、安い野菜だけでなんとかしのいでいる」と語る独り暮らしの高齢者もいた。

 

(政府庁舎前で抗議する市民)

 

背景には、中国政府の深刻な財政難がある。ゼロコロナ政策による長期の封鎖や経済停滞の影響で、政府は各地で「医療保険改革」と称する制度変更を実施した。広州市では、退職者向けの医療費支給を本来の月400元(約8千円)から160元(約3千円)へと大幅に削減した。

さらに、年金制度にも深刻な矛盾がある。広州市では2006年以降、「早く退職した人ほど年金が高く、遅く退職した人は逆に低い」という現象が続いており、不満の声が絶えず、勤続年数も保険料の納付額も同じにもかかわらず、2019年以前に退職した人と以後の退職者との間で、年金額に最大50%の差が生じたという。

政府と交わした契約どおりに支給されるべき年金が支払われず、医療費すら切り捨てられる現実に、高齢者たちの怒りは募るばかりだ。

「老後の暮らし」すら守れない国家が、もっとも弱い国民に犠牲を強いるその現実に、人々の不信と怒りは静かに、しかし確実に積もり続ける。

 

封殺された「貧困」

2024年に、中国当局に封殺されたコンテンツのなかで「中国 活著(中国 生きる)」という動画がある。その動画にも登場する有名なシーンが以下の写真だ。

 

中国における「貧富の差」がよくわかる1枚の写真(SNSより)

 

写真には、昼夜を問わず娯楽で公園や広場で思い思いに踊る「広場舞(スクエアダンス)」のご婦人たちの姿と野菜売りのおばあさんが映っている。

ダンスや人生を堪能するご婦人たちは、たいてい十分な年金をもらっている政府機関からの退職者およびその家族だろう。その楽しそうな姿を羨ましそうに眺めているのは、そのすぐそばで、地べた置いた古い椅子に腰かけて野菜売りをする高齢女性だ。

この写真は「中国における貧富の差が一目でわかる写真」として華人圏で広く拡散されていた。

 



封殺された中国の「貧困」【動画あり】

中国の封殺された「貧困」。

 

 

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!