合成麻薬フェンタニルの乱用がアメリカを中心に深刻化する中、福岡資麿(ふくおか たかまろ)厚生労働相は現状「乱用拡大は確認されていない」との認識を示した。
福岡資麿厚生労働相は7月15日の会見で、税関によるフェンタニル密輸摘発事例は過去6年間ないと説明し、欧米ほどの乱用事例は現時点で見られないとした。密輸や不正取引への取締り強化と、医療用途の適正管理への地道な指導を継続するとしている。
アメリカでは2022年中に、フェンタニル単独で年間約7万3654人の過剰摂取死が発生し、合成オピオイド全体では7万人以上にのぼり、米政府は「国家的危機」とみなしている。
ジョージ・グラス駐日米大使は6月26日、自身のXアカウントで「フェンタニルやメタンフェタミンなど合成薬物が多くの命を奪っている」と強調し、中国共産党の関与を指摘、日本経由の密輸防止の必要性にも言及した。
日本経済新聞は26日、名古屋市に設立された法人が中国の化学品メーカーと連携し、フェンタニルの原料を管理しアメリカ向けに不正輸出していた疑いがあると報じた。
岩屋毅外相は6月27日の会見で、日本の薬物管理は厳格であり、違法輸出入は断じて許さないと述べ、報道内容が日米関係に影響を及ぼすものではないとの認識を示している。
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