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【秦鵬觀察】トランプ大統領 「ロシアゲート」の真相でオバマ前大統領を反逆罪で糾弾

2025/07/24
更新: 2025/07/24

トランプ大統領が「ロシアゲート」の首謀者としてオバマ前大統領を名指しし、米司法省に反逆罪での捜査を要求した。ディープステートによるクーデター疑惑が再燃し、アメリカ社会に大きな衝撃を与えている。この記事では、ギャバード国家情報長官の証言やスティール文書、オバマ氏の免責特権など最新の展開を詳しく解説する。

「ロシアゲート」の実態が覆され、トランプ大統領がオバマ前大統領こそ事件の首謀者であると名指しした。アメリカ社会はこの告発に強い衝撃を受けている。果たして、この発言が米国にもたらす影響とは何か。オバマ氏に大統領経験者としての免責特権は存在するのか。

オバマ氏とトランプ大統領の因縁を再検証することで、「ディープ・ステート(深層政府)」という概念が単なる陰謀論なのか、それとも実在する構造なのかを問い直す。

米司法省が捜査に着手 トランプ大統領、オバマ氏を反逆罪で非難

現在のアメリカ政界は、未曾有の大激震に見舞われている。

先週末、アメリカのトゥルシー・ギャバード国家情報長官が重大発言を行い、オバマ前大統領がトランプ大統領を排除するためにクーデターを企てたと明言した。その概要は以下のとおりである。

2016年12月7日から8日にかけて、米情報機関は「ロシアが大統領選にサイバー攻撃で介入した証拠は存在しない」とする評価報告書をまとめた。この結論は、同年8月の中間報告とも一致し、ロシア側に選挙介入の意図も能力も見出さなかった。しかし、報告書の大統領日報掲載直前に高官が突然の撤回を命じた。

その翌日、当時のオバマ大統領は国家安全保障会議を招集し、ロシアの選挙干渉を示す新たな「情報評価」の作成を命じた。会議には元FBI長官コミー、元CIA長官ブレナン、国家情報長官クラッパー、国家安全保障顧問スーザン・ライス、国務長官ジョン・ケリー、司法長官ロレッタ・リンチら25名が出席していた。

続いて、スティール文書を根拠とするこの評価報告が活用され、2017年1月6日には米国家情報長官室がCIA・FBI・NSAの合同文書として公表した。そこでは「プーチンがトランプ大統領を支援するため選挙干渉を指示した」と明記されていた。この報告がロシアゲート捜査の起点となり、特別検察官ミュラーによる2017~2019年の調査、さらには米議会によるトランプ大統領弾劾の根拠の一つともなった。

ギャバード長官は、これら一連の情報文書が「オバマ政権中枢がアメリカ国民の民意を覆そうと画策した反逆的陰謀の実態を示している」と断じた。

週明けには、Fox Newsが「米司法省がギャバード長官から刑事送致に関する資料を受領した」と報道。関係筋によれば、FBIはすでに関係者2名に対して本格的な捜査を開始しているという。

トランプ大統領、動画と声明でオバマ氏を糾弾

7月20日夜、トランプ大統領は動画を公開。冒頭ではオバマ氏らが「誰も法の上には立てない(No one is above the law)」と発言する過去映像を挿入し、後半ではAIによって再現されたトランプ大統領とオバマ氏がホワイトハウスで向き合う場面が展開された。そこにFBIが乱入し、「YMCA」の音楽と共にオバマ氏を逮捕するという演出が加えられ、ネット上で瞬く間に拡散した。

続けてトランプ大統領は、8人(男性7人、女性1人)が手錠をかけられて並ぶ写真を投稿。「これが起きない限り、何も変わらない(Until This Happens, Nothing Will Change)」という言葉を添え、世論に波紋を広げた。

翌7月21日、トランプ大統領はホワイトハウスでの記者会見に臨み、「オバマは反逆罪を犯した」と断言した。

「その書類を見れば分かる。これは確実な証拠であり、もはや推測ではない」

「彼は有罪だと私は確信している。ためらう余地などない。反逆罪だ」

「私の見る限り、これら一連の計画を主導したのはオバマ本人である。少人数の独断ではない。リーダーはバラク・フセイン・オバマだった」

「当時、バイデン氏、コミー氏、クラッパー氏、ブレナン氏らが同席していた。彼らは選挙を盗み、真実を隠蔽し、他国の敵対行為すら凌駕するような行動に出た」

トランプ大統領とオバマ氏の確執 復讐か、それとも国家の危機か

なぜオバマ氏は執拗にトランプ大統領を攻撃したのか。その背景として、多くの国民が14年前のホワイトハウス記者協会晩餐会を思い出す。

2011年4月30日、ワシントン・ヒルトンホテルで開催されたその晩餐会で、オバマ大統領は満面の笑みを浮かべながら、トランプ氏を徹底的にからかった。

「ドナルド・トランプさんが来ている。最近は私の出生証明に執着しているようだ」「トランプさん、もうその件は終わりにしませんか?」と笑いを誘い、場内を爆笑の渦に巻き込んだ。

さらにオバマ氏は、スクリーンにトランプ氏のホテル画像を映し、「ホワイトハウス」という文字を合成。建物前にビキニ姿の女性を配置して、トランプ氏のホワイトハウスを揶揄する演出を加えた。

その瞬間、会場のカメラはトランプ氏の顔を捉えた。彼は明らかに不快な表情を浮かべ、周囲の陽気な雰囲気とは対照的だった。

当時、トランプ氏は不動産王かつTV番組「アプレンティス」の人気スターであり、「オバマ出生地陰謀論」を世間に広めていた。オバマ氏が本当にアメリカ生まれかどうか、公然と疑問を呈していたのである。

この晩餐会は、あからさまな罠だった。コメディアンのセス・メイヤー氏も壇上でトランプ氏を何度も嘲笑した。「トランプが大統領選に出るなんて冗談かと思った」「彼の会社はミスUSAコンテストの権利を持っている。副大統領もその中から選べるのでは?」と揶揄を重ねた。

この屈辱の夜が、トランプ大統領の中で何かを決定的に変えたことは想像に難くない。オバマ氏への執念、そしてディープ・ステートへの警戒が、政界入りとその後の行動を突き動かす原動力となった可能性がある。

誰もトランプ氏が当時何を考えていたのか把握していなかった。しかし、翌日には「トランプへの侮辱」が複数のメディアでトップニュースとして報じられた。

時間は2015年に進み、トランプ氏は大統領選挙への出馬を発表した。「MAGA(アメリカを再び偉大に)」というスローガンは保守派の情熱をかき立て、オバマ氏や民主党には強い警戒心を引き起こした。2016年11月8日、トランプ氏はヒラリー・クリントン氏に勝利し、全米に衝撃を与えた。

2016年末には、スティール文書が登場した。元イギリス情報将校スティールが作成したこの報告書には、ヒラリー陣営からの資金が流れていた。内容は衝撃的で、ロシアがトランプ氏の「弱点」を把握し、彼の選挙活動に干渉していたと主張していた。

さらに、ギャバード情報長官が機密文書を公開したことにより、新たな事実が浮上した――この文書の拡散にはオバマ政権が関与した可能性があるとされている。

この晩餐会の映像が再び注目を集め、多くの人々はトランプ大統領の振る舞いを「王子の復讐劇」になぞらえた。

ただし、筆者の見解では、トランプ大統領は生まれながらの闘士であり、戦うことに喜びを見出す人物である。ゆえに、オバマ氏による侮辱は彼の出馬を促す契機になったことは確かだ。ただし、出馬には二つの理由がある。

第一に、トランプ大統領はオバマ政権の8年間を通じて、アメリカが危機的状況にあると認識した。1988年、有名なトーク番組で司会者オプラ氏に大統領選への出馬の可能性を問われた際、トランプ氏は「自分の仕事は好きだが、もし状況が悪化すれば出馬を否定しない。なぜなら、我々のような国が、他国の人々が王のように暮らしているのを横目に、劣った状況を甘受しているのが耐えがたいからだ」と述べている。

また、トランプ大統領がホワイトハウス入りした際に発した大統領令の数々は、すべてオバマ時代の政策を覆す内容であった。たとえば、イラン核合意からの離脱、同盟国への軍事費負担の要求、気候協定からの脱退などが含まれる。

第二に、トランプ大統領は徹底した実用主義者であり、勝機の計算に長けている。2016年に本格出馬する前から、複数回の模索を行ってきた。

1988年には、共和党戦略家リー・アトウォーター氏に接触し、ジョージ・H・W・ブッシュの副大統領候補を希望したが、ブッシュ陣営はその要望に応じなかった。

1999年には改革党に加入し、2000年の大統領予備選に正式に参加したものの、翌年2月、党内の混乱を理由に選挙戦から撤退した。

2011年2月には保守派政治行動会議(CPAC)に出席し、2012年の大統領選に出馬する可能性を公言したが、5月には不出馬を表明した。

2015年1月、トランプ氏は元下院議長ニュート・ギングリッチ氏と朝食を共にし、大統領選出馬に必要な経験、選挙戦の構成、費用について詳しく尋ねた。ギングリッチ氏によれば、これがトランプ氏が真剣に出馬を考え始めた最初の兆候だったという。

このように、トランプ大統領はアメリカ再建という野望を実現するため、複数回にわたって水面下で準備を進め、熟慮の末に2016年に本格出馬を決断した。その決意は、一度動き出せば必ず成功を求める彼の性格にも合致している。したがって、事の本質は単なる「王子の復讐劇」にとどまらない。

世紀の大審判は訪れるのか――「ロシアゲート」がアメリカ政治に及ぼした深遠な衝撃

「ロシアゲート」事件の大逆転は、アメリカ政治にいかなる変化をもたらすのか。

2025年7月22日、トランプ大統領はTruth Social上で次のように投稿した。「『これはウォーターゲート事件を取るに足らないものに見せている』と、フーバー研究所の上級研究員ヴィクター・デイヴィス・ハンソンが語った。彼らの行為は明確な証拠によって裏付けられており、全員が刑務所に入るべきだ。処罰を免れれば、同様の行為は今後も繰り返される。誰もがこの確固たる証拠を無視することはできない。アメリカを再び偉大にせねばならない!」

「ロシアゲート」は単なる政治スキャンダルではない。爆弾のような衝撃がアメリカの政治構造を直撃した。2016年の大統領選挙後、スティール文書が公開され、トランプ大統領に対する激しい非難が巻き起こった。FBIは「クロスファイア・ハリケーン」作戦を発動し、トランプ陣営に対する直接的な調査に乗り出した。トランプ大統領の初代国家安全保障顧問マイケル・フリン将軍は、わずか28日で辞任に至った。以後、特別検察官ロバート・モラー氏が捜査を継続し、政権には長期間にわたり不信と混乱が覆いかぶさった。2019年に公表されたモラー報告書では、ロシアとの「共謀」を立証する決定的証拠は示されなかったが、疑惑の余地を完全に払拭するには至らなかった。民主党は歓喜に包まれ、共和党はこれを「政治的迫害」と断じた。

しかし、事態の本質は党派闘争を超えた危機に及んでいた。

2025年2月27日、フリン将軍はベニー・ジョンソンの番組に出演し、FBI元長官コミー氏を名指しで非難した。彼は「ジム(=コミー)、本来であればお前たちは私を殺すべきだと考えていたことを私は知っている。だが、お前たちは間違った家族に手を出し、混乱を招いた。彼らはトランプ大統領を二度も殺そうと企てた。今や、その事実は明らかになった」と語った。

フリン氏の発言は、かつてなら陰謀論として退けられたかもしれない。しかし、国家安全保障会議がオバマ氏の主導で動いていたという証拠が明るみに出たことで、状況は一変した。

特に注目すべき点は、「ロシアが大統領選に干渉していなかった」と結論付けたのが、トランプ陣営ではなく、当時のオバマ政権下の情報機関であったことだ。この証拠は法廷でも有効性を持ち、政治的動機による訴追の疑いを退ける要素となり得る。

さらに、今回公開されたトゥルシー・ギャバード情報長官による機密解除文書では、より深い構造が明らかとなった。スティール文書の流布は、民主党の選挙戦略にとどまらず、オバマ政権高官の主導によるものであったと記されている。2016年の国家安全保障会議の後、政権関係者は「ワシントン・ポスト」やCNNなどのメディアに「標的を絞ったリーク」を行い、意図的に「ロシアゲート」ナラティブを拡散した。

ギャバード情報長官はこれを「単なる選挙戦略ではなく、アメリカの憲政への直接的な攻撃」と断じた。

「ロシアゲート」事件がもたらした影響は多岐にわたる。第一に、国民の選挙制度に対する信頼を大きく揺るがせた。ピュー・リサーチ・センターが2023年に実施した世論調査では、連邦政府を「強く信用する」と答えたアメリカ人はわずか16%にとどまり、過去最低を記録した。

第二に、米露関係を著しく悪化させた。2017年、アメリカ政府はロシアに対する制裁を発動し、外交官の追放を実行に移した。両国関係は冷戦終結以降、最悪の水準にまで落ち込んだ。

最も深刻な点は、「ロシアゲート」という虚構が政権の初動を著しく鈍らせ、アメリカ社会をかつてない分断状態へと導いたことである。モラー報告が不完全なまま終息したこと、そして背後に存在する組織的勢力の暗躍が明らかになった今、情報機関、メディア、議会、一部官僚が一体となって民選大統領の転覆を企てていた構図が浮かび上がる。

この全体構造に対して、ギャバード情報長官は次のように語った。「オバマとその国家安全保障チームの行動は、アメリカ国民の意思を踏みにじり、我が国の民主制度を破壊し、トランプ大統領に対する長期的なクーデターを仕掛けた」

「クーデター」「反逆」――このような重大な指摘は、トランプ政権がヒラリー氏の「メールゲート」事件のように寛容に済ませることがもはや許されない段階に来ていることを示している。もし反逆者に対して責任を問わなければ、アメリカにおける法と公正は完全に崩壊するだろう。

「ディープステート」と陰謀論――オバマ氏に免責の余地はあるのか

「ディープステート」という語は、近年アメリカ政治を席巻してきたが、多くの市民はそれを陰謀論と見なしてきた。だが「ロシアゲート」の大逆転により、オバマ氏がその中心に位置していたという新事実が突き付けられ、複数の元閣僚・高官の関与も明らかとなった。

この事実が、「バイデン政権の4年間、誰がアメリカを実質的に支配していたのか」という疑問を一層深めることとなる。

7月21日、トランプ大統領はTruth Mediaに次のような投稿を行った。「オバマが『ロシア・ロシア・ロシア』という詐欺劇を自らでっち上げ、詐欺師ヒラリー、眠そうなバイデン、そのほか多くの者たちがこの世紀の大犯罪に加担した! 反論の余地なき証拠が揃っている。これは国家に対する重大な脅威である!」

翌22日には、新たな動画も投稿され、ジョン・F・ケネディJr.の飛行機事故死とヒラリー・クリントン氏の上院当選との関連性にも言及がなされた。「オバマの次はヒラリーか――この2人は本当に法の裁きを受けるのか?」という疑問が急浮上している。

このなかで、オバマ氏に対する免責特権の適用が焦点となった。彼は起訴を免れるのか――。

2024年7月1日、連邦最高裁は次のように判断した。「元大統領であっても、”公式行為”には免責特権が及ぶが、”非公式行為”にはその限りではない」と。

21日、法学者マイク・デイヴィス氏はこう述べた。「オバマには『ロシアゲート』詐欺に関して大統領免責特権は認められない。大統領在任中の行為にのみ適用されるもので、退任後の行為には適用されない。オバマが陰謀の隠蔽に関わった場合、その責任から逃れられない」「彼らはいまも陰謀を隠蔽し、偽証を続けている。オバマ政権の高官たちは法廷で虚偽を述べており、我々は依然として時効内にある」

さらにデイヴィス氏はこう締めくくった。「正義の時は近づいている。私は連邦刑務所局に収容スペースの余裕があるか真剣に懸念している」

アメリカ憲政史上、前大統領の起訴は前例のない事態となる。

この巨大な政治嵐は、アメリカをいかなる方向へ導いていくのか。オバマ氏は果たして、法の裁きを受けることになるのか。

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。
秦鵬
時事評論家。自身の動画番組「秦鵬政経観察」で国際情勢、米中の政治・経済分野を解説。中国清華大学MBA取得。長年、企業コンサルタントを務めた。米政府系放送局のボイス・オブ・アメリカ(VOA)、新唐人テレビ(NTD)などにも評論家として出演。 新興プラットフォーム「乾淨世界(Ganjing World)」個人ページに多数動画掲載。