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実質賃金 6か月連続マイナス 名目増との乖離続く

2025/08/06
更新: 2025/08/06

労働者の名目賃金は増加が続く一方で、物価上昇の影響により実質賃金は低下傾向が続いている。厚生労働省が8月6日に発表した2025年6月の毎月勤労統計調査(速報)では、現金給与総額は前年同月比2.5%増と42か月連続でプラスとなったが、実質賃金は1.3%のマイナスで、6か月連続の減少となっている。名目賃金と生活実感とのギャップが、改めて浮き彫りとなった。

特に従業員規模30人以上の事業所においては、現金給与総額が61万9893円(2.8%増)と、52か月連続で増加。内訳では、基本給や毎月決まって支払われる手当などを含む定例給与は28万9819円(2.1%増)、所定の労働時間内に支払われた基本的な給与は27万240円(2.1%増)で、いずれも44か月連続の増加となった。また、賞与などの「特別給与」は22万1391円(3.0%増)と、企業の報酬強化の姿勢も見られる。

一方で、物価の影響を加味した実質賃金指数(2020年平均=100)は141.1で、6か月連続の減少となった。背景には、消費者物価指数(CPI・持家の帰属家賃を除く総合)が前年同月比で3.8%上昇という、依然として高い物価上昇がある。

また、総合CPIを用いた実質賃金指数も0.7%減の143.8となっており、こちらも6か月連続のマイナスとなった。

名目上の賃金は増加しているが、物価上昇のペースがそれを上回っており、実質的な購買力は低下。特に食料品や公共料金の値上げが家計を直撃しており、労働者の生活実感との間に乖離が広がっている。

経済アナリストの間では、「名目賃金の上昇だけでは生活改善につながらない。物価上昇に対応した持続的な賃上げが求められる」との指摘もある。
 

清川茜
エポックタイムズ記者。経済、金融と社会問題について執筆している。大学では日本語と経営学を専攻。