厚生労働省麻薬取締部は8月13日、ベトナムのダナン港を出港し、6月に東京港へ到着した貨物船のコンテナから乾燥大麻約1トンを押収したと発表した。国内で一度に押収された大麻としては過去最大で、2024年の全国押収量(約452キロ)の2倍以上に相当する。
東京税関の検査で、コンテナ内の段ボール約200箱から大麻が発見された。捜査の結果、茨城県在住のベトナム国籍、ファム・ゴック・テゥイ容疑者(51)ら3人を、営利目的での密輸に関与したとして麻薬取締法違反の疑いで逮捕。麻薬取締部は、国際的な密輸組織が関与している可能性があるとみて、ルートの解明を進めている。
日本では近年、薬物密輸の増加が問題となっており、今回の事件は税関や海上保安庁との連携強化の必要性を改めて示した。一方、8月7日には欧州の調査機関ベリングキャットが、米国向けフェンタニル不正輸出に関与する中国系組織が日本に拠点を構えていたとする報告を公表。専門家は、日本では法人設立や長期滞在資格の取得が比較的容易で、規制当局の監視も限定的な実情が、こうした犯罪の背景にあると指摘している。
麻薬取締部は、国際的な密輸網の摘発に向け、関係機関との協力を強化する方針。今回の押収は、日本が国際薬物犯罪の拠点として悪用されるリスクを浮き彫りにしており、港湾管理や監視体制の見直しも求められている。
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