沖縄県与那国町の町長選挙が2025年8月24日に投開票され、新人の上地常夫氏(61歳、元町議)が現職の糸数健一氏らを破り初当選した。投票率は90.83%で、前回の91.03%と変わらない高い投票率を示している。
上地氏は防衛政策に対して、陸上自衛隊与那国駐屯地のさらなる機能強化には慎重な考えを示す一方、町民の意見を尊重しながら情報を公開する方針を強調した。
また、地域医療の課題として、2026年3月に契約終了予定の与那国診療所の医師派遣問題に対し、県などの協力を求めて存続に努める考えを示した。経済面では観光業の振興による地域活性化を掲げて支持を広げた。
日本最西端で尖閣諸島から約150キロの距離にある与那国島。近年、中国の軍事的脅威が高まる中、陸上自衛隊駐屯地に対空ミサイル配備といった防衛強化の最前線ともいえ、台湾からも約111キロと非常に近い。
現在は中国海警局の公船がこの海域で常態的に航行し、地域に軍事的プレッシャーをかけており、日本における防衛上の最前線の一つとされている。
ジャーナリストで日本沖縄政策研究フォーラム理事長の仲村覚氏は、今回の投票結果について大紀元の取材に答え、糸数氏、上地氏ともに尖閣諸島、中国からの軍事的圧力に対する言動について、程度の違いはあるものの、現在のところ革新中国との対話路線に向かうような「リスク」は感じていないと述べている。
一方で、日米共同訓練など政府の防衛施策について、これまで政府や与党から住民への十分な説明が行われてこなかったと指摘した。
そのため、「基地がある島は攻撃の優先対象になる」といった、今回敗れた田里千代基候補のような主張が住民の間で広がる背景になっていると述べた。
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