「ファイアウォール」が崩れた日こそ、中国人が夢から醒める瞬間である。その時、中国共産党の情報独裁体制はもはや存続できまい──この言葉は、世界各地の抗議集会で華人が繰り返し口にしてきた。
中国全土を覆う巨大なネット検閲システム「グレート・ファイアウォール」。中国共産党(中共)はこの壁を築き、GoogleやX(旧ツイッター)、Facebookなど外の世界への窓を閉ざしてきた。情報封鎖の目的はただ一つ、国民に真実を知られないようにするためである。
「中国のファイアウォールを壊せ(拆牆運動、#BanGFW)運動」の発起人で元RFA記者の喬鑫鑫(きょう・きんきん)氏は、ラオス滞在中に中国当局に越境逮捕され、いまも投獄されている。さらにネット検閲を回避する方法を広めてきた著名ブロガー「編程随想」阮曉寰(げん・ぎょうかん)氏も2021年に拘束され、秘密裁判で懲役7年を言い渡された。

阮曉寰氏の妻・貝(ばい)氏は、当局の圧力に晒されながらも夫の釈放を訴え続けてきた。今年8月22日、彼女はついに上海の監獄で4年ぶりに夫と再会したが、阮氏はやせ細り、歯を失ったという。それでも阮氏は「控訴を続けてほしい」と語り、自由を求める闘志がなお消えていないことを示していた。

こうした消息は海外の華人社会にも強い共感を呼んでいる。ロサンゼルスの中国大使館前で開かれた「ファイアウォールを壊せ」運動2周年集会では、参加者たちが阮氏や喬氏ら投獄された仲間の名を掲げて釈放を訴え、「14億人に真実を」と声を上げた。
中国国内の家族の闘いと、国外で続く抗議の声は国境を越えて響き合い、中共の情報封鎖に対抗する連帯の力となっている。

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