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米国 中国製ドローンとコネクテッドカーの輸入制限へ 新規則導入で

2025/09/06
更新: 2025/09/06

米国トランプ政権は9月5日(金)、今月中に新規則を導入すると発表した。中国からのドローンおよび中・大型のコネクテッドカーの輸入を制限する内容であり、従来の自動車やトラックに関する規制をさらに拡大する措置である。アメリカ政府は国家安全保障を重視し、この政策を打ち出したものである。

米国商務省産業・安全保障局(BIS)は「連邦規制アジェンダ」ウェブサイトにおいて、最速で今月中にも「暫定最終規則(Interim Final Rule)」として関連措置を公表する予定であると告知した。対象は「情報通信技術(ICTS)」に関わる取引であり、製品が中国(中国共産党)や、米国が「外国の敵対国」と見なす国家で設計・製造・供給された場合に規制を適用する。特にドローンや重量1万ポンド(約4.5トン)を超えるコネクテッドカーに搭載される製品について、国家安全保障や米国市民にとって「不適切または受け入れがたいリスク」をもたらす可能性があると判断している。

現時点では、この規則は「連邦規制アジェンダ」ウェブサイトに公開されているにとどまり、法的効力は持たない。慣例として、規則は「連邦官報」(Federal Register)に正式掲載されて初めて法定手続きに進むことになる。

今回の動きは、トランプ政権が過去に自動車やトラックの輸入審査を厳格化した流れをさらに進めるものである。バイデン政権も2023年に中国製ソフトウェアやハードウェアの使用制限措置を導入しており、いずれも国家安全保障上の懸念に基づいている。

ロイター通信によれば、この新規則はワシントンが重要インフラの安全に一層の懸念を抱いていることを示している。中国製ドローンや電気自動車が急速に輸出拡大するなか、米国政府は審査を厳格化し、中国共産党の技術が通信・交通・エネルギー・ネットワークに浸透するのを阻止しようとしている。米国国防総省は2018年以降、中国製ドローンの調達を禁じ、2020年には大手メーカーDJIの全機種の運用を全面停止した。さらにDJIは米国商務省の「エンティティリスト」および財務省の投資ブラックリストに登録された。

こうした背景のもと、DJIは現在も米国の民間市場で製品を販売しているが、警察や消防など公共安全分野では使用が大幅に制限されている。今回の新規則はさらに強い制約と受け止められ、DJIドローンの米国内民間市場での存続に直接的な影響を及ぼす可能性がある。

同時に議会でも新たな動きが出ている。米国連邦下院議員パット・ハリガン(Pat Harrigan)氏は9月4日(木)に「2025年スカイファウンドリー法案(SkyFoundry Act of 2025)」を提出した。この法案は国防総省に対し、米国主導のドローン設計・試験・量産体制の確立を求めるものであり、年間100万機規模の小型ドローン生産拠点を整備して防衛産業の競争力を高め、中国およびロシア発のドローンの脅威に対抗・抑止することを目的としている。

李言