FBIのカシュ・パテル長官は10月15日、トランプ政権発足から7か月の間に、FBIによる中国共産党のスパイ活動に関する逮捕および起訴件数が50％増加したと発表した。

同日、パテル氏はトランプ米大統領、パム・ボンディ司法長官、トッド・ブランチ司法副長官とともにホワイトハウスのオーバルオフィスで共同記者会見を開き、「サマー・ヒート作戦（Operation Summer Heat）」と名付けられた全国的な法執行の成果を発表した。また、外交や司法の政治化などの問題についても見解を述べた。

パテル氏は政権発足後7か月間の主要な成果を詳細に示し、「これはアメリカ史上、犯罪対策における最良の数字だ」と述べた。

国家安全保障

パテル氏は、大統領の指導の下、FBIが主要な敵対国によるスパイ活動への取り締まりを強化したと強調した。

• 中国共産党（中共）関連のスパイ活動に対する逮捕・起訴件数が50％増加
• イランに関するスパイ事件は50％増加
• ロシアに関するスパイ事件は33％増加
• また、今年これまでの反テロ作戦による逮捕者数は125人で、昨年の100人を上回った

暴力犯罪と麻薬取締り

パテル氏は「優秀な警察官が本来の職務を果たせるようにした政策」により、法執行の成果が顕著に表れていると述べた。

• 暴力重罪犯の逮捕　政権発足から7か月で2万8600人を逮捕。これは前政権の4年間の総逮捕数（約1万5千〜1万7千人）の約2倍に相当。
   
• 「サマー・ヒート作戦」の成果　3か月間で8700人の暴力犯罪者を逮捕し、2200丁の銃を押収。さらに421kgのフェンタニル（アメリカ人口の約5500万人を致死させる量に相当）と4万5千kgのコカインを押収。
   
• 行方不明児童の発見　5400人の行方不明児童を保護し、前政権同期比で30％増加。
   
• ギャング・組織犯罪の取締り　ギャング関連の逮捕件数は210％増、国際組織犯罪の逮捕は12％以上増加。
   
• FBIの十大指名手配犯　7か月で4人を逮捕し、前政権4年間の実績と同数を達成。

トランプ氏　「新政権の法執行が成功」

トランプ氏は、これらの成果を新政権のリーダーシップの成果とし、近年の犯罪率上昇を「愚かな開放的な国境政策」の結果だと非難した。さらに、他国が犯罪者や受刑者、精神疾患のある人々を「アメリカに押し付けている」と指摘した。

• 国内治安　「ワシントンD.C.を安全にする（Make D.C. Safe）」特別部隊の成功を強調し、今後サンフランシスコやシカゴなど犯罪の多い都市にも同様の作戦を拡大すると表明。「犯罪のない都市を実現する」と述べた。
• 国境と麻薬　海上での麻薬密輸を「ほぼ完全に阻止」したと述べ、今後は陸上国境での取り締まりを強化するとした。さらに、麻薬カルテルへの陸上攻撃の可能性にも言及した。

司法の「武器化」と政治的弾圧

トランプ氏は、政治的対立勢力による自身への攻撃を「世界史上最も深刻な司法の武器化」だと非難した。特別検察官ジャック・スミス氏による起訴を「大規模な政治犯罪」だと主張した。

また、自宅マー・ア・ラゴへの家宅捜索を「違法な襲撃」と断じ、前政権が司法制度を利用して政治的対立者やその家族を迫害していると批判。「どんなバナナ共和国（バナナなどの熱帯果実の輸出や外国資本への依存度が高く、政治的に不安定な中南米などの小国）よりもひどい」と述べた。

ワシントンD.C.の裁判官が下院元スタッフへの襲撃事件で若者2人に軽い判決を下したことを挙げ、「急進左派の裁判官による判断であり、将来の犯罪を助長する」と非難した。

外交と世界平和

• インドとロシアの石油取引　トランプ氏は、インドのモディ首相がロシアからの石油購入を停止すると約束したと述べ、これをロシアへの圧力として重要視した。また、自身が関税や外交的圧力を通じて印パ間の核戦争を防いだと主張した。
• ロシア・ウクライナ戦争　トランプ氏はこの戦争は「本来起きるべきではなかった」と述べ、両国指導者間の憎悪が和平を妨げていると指摘。アメリカは代替的な解決策を模索中だと語った。
• ガザと人質問題　トランプ氏は生存している人質は全員解放されたと確認し、遺体の捜索が進行中だと述べた。ハマスは武器の引き渡しに同意したとし、アメリカがガザに直接軍事介入する必要はないと強調。米・イスラエルの行動がすでに大きな成果を上げているとしている。