中国の景気低迷と消費不振が続く中、コーヒー業界が前代未聞の値下げ合戦に突入している。かつて9.9元(約200円)が底値とされた1杯のコーヒーは、いまや2.9元(約60円)まで下落。安すぎる価格に、品質への懸念の声も上がっている。
浙江省を拠点とする新興ブランド「グーミン(古茗)」は、10月13~26日まで朝限定で1杯「2.9元(約60円)コーヒー」を販売開始。9月にも45日間のキャンペーンを実施し、1杯4.9元(約100円)のアメリカンコーヒーを提供して話題を呼んだ。

これに刺激を受け、中国のコーヒーチェーン大手ラッキンコーヒーやコッティコーヒー、ラッキーカップも相次ぎ値下げを打ち出し、フードデリバリーアプリでは0.5元(約10円)でコーヒーを購入できるキャンペーンまで登場した。
業界では「自殺的競争」との声も上がるが、低価格戦略はさらに加速している。

上海や北京の高級商業エリアでも注目を集めているのが、新興ブランド「タイジュアンコーヒー(太巻咖啡)」だ。店名の「太巻」は、若者の間で使われる「内巻(過剰競争)」という言葉をもじったもので、激しい値下げ競争を皮肉りつつ、自らその「戦場」に飛び込む姿勢を象徴している。店では2.9〜3.9元(約60〜80円)の激安コーヒーが並び、価格破壊の象徴として人気を集めている。
一方、スターバックスも中国進出26年で初の値下げに踏み切り、数十種類の商品を平均5元(約100円)引き下げた。中国全土のコーヒー店は現在23万店を超えるが、過去1年で5万店が閉店しており、淘汰の波が進む中、価格だけで生き残れるのかが問われている。

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