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ISHR 中露の国連予算操作を指摘 人権関連経費削減の危機

2025/10/24
更新: 2025/10/24

国際人権サービス機構(ISHR)は10月21日、最新の調査報告を発表し、中国共産党(中共)とロシアが長年にわたって国連内部の予算交渉を操作し、人権関連の経費を削減しようとしている実態を明らかにした。

報告書のタイトルは「国連予算をめぐる攻防」で、全97ページにわたる。報告書では、中共とロシアの両国が非公開の会議でどのように連携し、政治的な駆け引きや予算権限を利用して人権関連の資金を減額しようとしているのかを、詳しく明かしている。

報告によると、こうした行為は国連による重大な人権侵害事件の調査を難しくしており、ロシア・ウクライナ戦争やイラン、北朝鮮で発生している人権危機への対応にも支障をきたしている。

ISHRのニューヨーク事務所ディレクター、マデリン・シンクレア氏は、中共とロシアの外交官たちは、予算交渉を「武器化」して同盟国を保護し、国際的な監視を避けようとしていると指摘した。

また、国連自体も深刻な財政難に直面している。

報告書によると、アメリカ、中国、ロシアの3か国すべてで分担金の支払いが遅延、または未納の状態にある。

今年10月初旬の時点で、アメリカは国連の2025年度予算約15億ドルを滞納しており、中国は約1億9200万ドル、ロシアは約7200万ドルを未払いのままだと報告されている。

中国は国連への拠出額で第2位の立場にあるが、実際の支払いは毎年遅れがちで、2024年は12月27日まで支払いが延びたと伝えられている。この遅延が資金運用を妨げる一因となったとみられる。

ISHRは、こうした「支払い遅延」と「未納」の影響で、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)の実質的な予算が2024年から2025年の間に約30%減少したと警告している。

その結果、多くの戦争犯罪や人権侵害に関する調査が中断を余儀なくされている。

さらに、アメリカは現在、国連人権理事会への一部資金提供を停止している。トランプ大統領は国連体制について「非効率的で資金運用が不透明だ」と批判し、今年2月に人権理事会からの脱退を発表した。

報告書の締めくくりでは、国連の財政難とアメリカの撤退を背景に、中共とロシアが影響力を拡大させており、これが世界の人権保障に深刻な脅威を及ぼしていると警鐘を鳴らしている。