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自民党 外国人犯罪・サイバー攻撃・特殊詐欺への対策強化要請

2025/12/24
更新: 2025/12/24

自民党の治安・テロ・サイバー犯罪対策調査会は、国内の治安維持を目的とした「外国人犯罪、サイバー攻撃、特殊詐欺等への対策に関する緊急提言」をまとめ、23日に高市早苗総理大臣へ提出した。日々高まる治安への脅威に対処するため、官民が連携して取り組むべき喫緊の課題が示されている。

申し入れを受ける高市総理

深刻化する3つの脅威

今回の提言の背景には、既存の対策では食い止めきれない犯罪の深刻化がある。

  1. 外国人犯罪の組織化: 来日外国人による犯罪の検挙件数は増加傾向にあり、犯罪の組織化も進んでいる。特に、令和6年の統計では共犯事件の割合が41.1%に達しており、日本人の12.5%と比較して約3.3倍と極めて高いのが特徴である。
  2. サイバー攻撃の「ビジネス化」: 物流業や製造業を狙ったランサムウェア攻撃により、経済活動に大きな影響が生じている。最近では「RaaS(Ransomware as a Service)」と呼ばれる、開発されたランサムウェアをサービスとして提供する形態が確認されており、攻撃がビジネス化している実態がある。令和7年上半期の被害報告件数は過去最多の116件に上った。
  3. 特殊詐欺の被害拡大: 政府は「国民を詐欺から守るための総合対策2.0」を策定しているが、被害の増勢には歯止めがかかっていない。令和7年7月末時点で、被害額は過去最悪であった令和6年の年間被害額を既に超えるという、極めて厳しい状況に直面している。

提言の柱となる主な対策

調査会は、それぞれの分野において具体的な対策を求めている。

  • 外国人犯罪対策: 多数の通訳が必要となる共犯事件への対応として、警察の通訳体制の拡充を提言している。また、訪日旅行者や技能実習生に対し、入国時や講習の機会を捉えて日本の法令・マナーを周知する広報啓発活動の実施を求めた。
  • サイバー攻撃対策: 全ての企業が攻撃を受ける可能性があるとの前提に立ち、被害発生時の業務継続計画(BCP:Business Continuity Plan)の策定と訓練の実施を促進すべきとしている。さらに、サイバー保険の保険金支払条件として警察への通報を約款に明記することや、高度な体制を持つ事業者の掛金割引などの検討も盛り込まれた。
  • 特殊詐欺対策: インターネットバンキングの振込限度額引き下げの加速や、被害金の即時の追跡・凍結を実現するための官民協働の「金融犯罪対策センター(仮称)」の構築を提案している。また、著名人なりすまし広告の削除をプラットフォーマーに促す取り組みも重要視されている。

「国民を詐欺から守るための総合対策2.0」に基づく検討の加速

提言では、特殊詐欺の増勢を食い止めるため、政府が策定した「国民を詐欺から守るための総合対策2.0」に盛り込まれた施策の検討を加速し、早期に結論を得ることを強く求めている。主な具体策は以下の通りである。

犯罪インフラの遮断: SNSアカウント開設時の本人確認の厳格化や、データ通信専用SIMの本人確認義務付け、預貯金口座の不正譲渡に対する罰則引き上げなどを挙げている。

技術的対策の高度化: 闇バイト等の実行役募集情報に対するAIを活用した警告リプライの高度化や、高齢者のATM振込・引出限度額を少額とすることの制度化の検討を求めている。

国際連携と捜査強化: 外交ルートを活用した外国当局との情報共有体制の構築や、SNS事業者による捜査機関への対応強化、匿名性の高い通信アプリの解析手法の把握などが含まれる。

警察における取締りの強化

提言の最後に、匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)を壊滅させるため「警察における取締りの強化」が不可欠とし、そのため、警察庁・警視庁が設けた新体制の下、グループの中核メンバーの検挙に向けた取り組みを一層強化することを求めている。また、海外を拠点とする犯行グループに対抗するための外国捜査機関との連携強化や、捜査情報の漏洩という重大事案に対する再発防止の徹底も、厳正な取締りを推進する上での重要事項として挙げた。

大紀元エポックタイムズジャパンの速報記者。主に軍事・防衛、安全保障関係を担当。その他、政治・経済・社会など幅広く執筆。