中国共産党(中共)軍東部戦区は29日、台湾海峡周辺で実弾射撃を伴う軍事演習を行った。これについて、中華民国(台湾)総統府の郭雅慧報道官は、厳しく非難した。
郭氏は、中共による一方的な挑発行為について、国軍と国家安全当局は事前にすべて把握しており、万全の準備を整えているとして、国家と国民の安全は確保されているので、国民は安心してほしいと呼びかけた。
中共東部戦区は29日、台湾海峡、台湾北部、西南部、東南部、さらに台湾東方の海空域で演習を開始したと発表した。また30日午前8時から午後6時まで、台湾周辺の5か所で指定した海空域において、実弾射撃を行うとしている。
郭氏は、台湾海峡とインド太平洋地域の平和と安定を維持することは国際社会の強い共通認識だと述べたうえで、中共の行為は、台湾海峡およびインド太平洋地域の安全乱暴に破壊するものであり、国際法と国際秩序への公然たる挑戦だと批判した。
また、中共当局が国際規範を無視し、軍事的威圧によって周辺諸国を脅かしていることに対し、台湾は強い非難を表明すると強調した。
同氏はさらに、最近、国際社会が中共による権威主義的な勢力拡大と軍事的脅威に強い関心を寄せていると指摘。過去数か月にわたり、日本やフィリピン周辺の島しょ部付近で、さまざまな軍事的威圧や嫌がらせを繰り返し、地域の緊張を一方的に高め、現状を破壊していると述べた。
そのうえで、中共当局に対し、理性的に自制し、無責任な挑発行為を直ちに停止し、情勢を誤って判断して地域の平和を損なう「トラブルメーカー」にならないよう強く求めた。さらに、今後も地域各国と緊密に連携し、ルールに基づく国際秩序を守り、インド太平洋地域の平和と安定、安全を確保していく考えを示した。
台湾国防部も声明を発表し、中共が最近、台湾周辺およびインド太平洋地域で各種の軍事的威圧行動や偽情報による認知戦といった複合的脅威を展開し、地域の緊張を高めていると指摘。「武力を振りかざし、責任を転嫁するこうした行為こそが、地域の平和を損なう主因だ」と非難した。
国防部は、中共の理性を欠いた挑発行為を強く非難し、すでに緊急対応センターを設置。「国軍常時戦備時の突発事態処置規定」に基づき、適切な兵力を派遣して即応演習を実施し、自由と民主を守り、台湾の主権を防衛すると表明した。
さらに国防部は、民主と自由を守ることは挑発ではなく、中華民国の存在は侵略者が現状を破壊する口実にはならないと強調。今回の中共による台湾を標的とした軍事演習は、同党の侵略的本質をさらに裏付けるものであり、最大の平和破壊者であることを示すとともに、台湾がより強靭で全面的な抑止力を急速に構築する必要性を証明したと述べた。
国防部は、「実力によってこそ平和は得られる」としたうえで、国軍は敵情を過小評価せず、同時に自らを過小評価することもなく、高度な警戒態勢を維持し、実際の行動で民主と自由の価値を守り、国家主権と国民の生命・財産を守り抜くと強調した。
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