中国のインターネット空間で、使えない言葉が30万語を超えていることが分かった。政治批判だけでなく、「躺平(努力や競争から距離を置き、最低限で生きる姿勢)」「擺爛(改善を諦め、投げやりになること)」といった、社会の息苦しさから生まれた言葉まで封じられている。
来年1月に施行される改正治安管理処罰法を前に、言論管理はさらに強まった。関係者によれば、禁止ワードのリストは毎日更新され、一度入れば削除されることはない。その結果、数は減るどころか、雪だるま式に増え続けている。
対象となるのは、天安門事件を連想させる表現や数字、文化大革命、集団的な抗議行動に関する言葉だけではない。集会や署名、民主化、政党の正当性を示す表現も使えない。さらに近年、若者の間で広がった海外移住志向や、「目立たず耐える」といった言い回しまで制限されている。
前向きな成功談は歓迎され、疲労や諦めを語ると危険になる。随分と都合のよい線引きである。
中国SNSウェイボー(微博)の内部管理者も、投稿を監視・選別する管理システムに約30万の敏感語が設定されていることを認めている。
特に警戒されるのは、社会への不満や公共事件への疑問、責任追及だ。南京博物館で発覚した文化財の不正売却問題、土地の強制収用、宗教の自由といった話題は、拡散する前に意図的に「注目度」を下げられる。真偽が確認されていない情報も、一括して好ましくない内容と判断され、自動的に遮断される。
専門家は「好ましくない言論」は明確な線引きのある禁止事項ではなく、その時々の都合で範囲が変わるため、人々が自分で発言を控えるよう仕向ける仕組みだと指摘する。
しかも安全地帯は存在しない。公開されたSNSだけでなく、メッセージアプリでの個人的なやり取りも、当局の解釈次第で処罰の対象になり得る。「私的な会話だから大丈夫」という感覚は、すでに通用しない。そうなると、ネットで見かけた一言が妙に腑に落ちる。
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