株急落 一時4200円超安に 株・円・債券「トリプル安」

2026/03/09
更新: 2026/03/09

2026年3月9日の東京株式市場において、日経平均株価が大幅に反落した。下げ幅は一時、前週末終値比で4200円を超え、同日午前の終値は前週末比3880円38銭安の5万1740円46銭となった。また、株式市場のみならず、為替市場での円相場の下落(1ドル=158円台後半)や、債券市場での価格下落(長期金利が2.225%に上昇)も重なり、株・円・債券がいずれも値下がりする「トリプル安」の様相を呈している。

株価急落の主な要因は、中東情勢の緊迫化に伴う原油価格の急騰と、米国の経済懸念である。 イランでは反米保守強硬派のモジタバ・ハメネイ師が新たな最高指導者に選出され、米国との対立長期化が懸念されている。ホルムズ海峡が事実上封鎖されたことで、ニューヨーク原油先物(WTI)は一時1バレル111ドル台へと急伸した。原油の大半を輸入に頼る日本にとって、エネルギー価格の高騰は企業業績を圧迫する要因として警戒され、人工知能(AI)関連銘柄などを含めて幅広く売りが優勢となった。 さらに、前週末に発表された2月の米雇用統計が下振れしたことで米国経済の悪化懸念が強まったことも、リスクオフの動きを加速させている。

野村総合研究所の木内登英氏は、今回の金融市場の混乱について、日本経済が抱える構造的な弱点が浮き彫りになった「日本売り」のサインであると分析している。同氏の指摘の要点は以下の通りである。

  • 日本経済への二重の打撃:原油価格111ドルの水準が1年間続いた場合、政府の対策がなければ国内ガソリン価格は1リットル261円まで上昇し、実質GDPを年間で0.39%下落、物価を0.69%上昇させると試算している。さらに、イラン紛争直前から足元までの約13%の株価下落自体が、家計の金融資産価値減少による消費抑制を通じて、実質GDPを追加で約0.13%押し下げると見込んでいる。
  • 株価下落に歯止めがかからない「トリプル安」の構図:通常、株価が下落する局面では安全資産である国債に資金が向かい、長期金利が低下することで株価下落への歯止め(ブレーキ)となる。しかし、現在は株安の中で長期金利も上昇しており、ブレーキが効かない状況に陥っている。この背景には、原油の94%を中東に依存している日本の脆弱性や、巨額の政府債務を抱える中での経済対策が財政環境を一段と悪化させるとの懸念があるという。
  • 金融政策のジレンマ:金融市場の混乱が深まる場合、日銀は市場安定化を狙って当面の利上げに慎重な姿勢を示す可能性がある。しかし、それがさらなる円安と物価高を許容すると受け止められれば、結果として国内経済への懸念を強め、株価の安定化にはつながらない恐れがあると警鐘を鳴らしている。
エポックタイムズの速報記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。