イランで続く戦火はいまだ収束の気配を見せず、停戦への展望も依然不透明である。イラン政権によるホルムズ海峡の封鎖は、世界の原油および液化天然ガス輸送量の約5分の1に深刻な影響を及ぼしている。最大のイラン産原油の輸入国であり、湾岸地域への依存度も高い中国は、エネルギー供給のひっ迫に直面しており、その影響はエネルギー安全保障のみならず、経済全体の安定にも大きな打撃を与えている。
ホルムズ海峡は、世界のエネルギー輸送を支える極めて重要な海上交通の要衝であり、中国の年間原油輸入量の約3分の1が湾岸諸国に依存しているとされている。イラン紛争の勃発以降、この海上輸送路が妨げられたことで、中国のエネルギー安全保障には重大なリスクが生じている。
台湾国防安全研究院副研究員、謝沛学氏は「近年、中国は再生可能エネルギーの開発を大きく推進し、産業・軍事の両面でその活用を進めてきた。しかし、依然としてホルムズ海峡という脆弱な海上の生命線への依存度は高いままである。今回の米イスラエルによる対イラン攻撃によって顕在化した危機は、中国が長年掲げてきた『海上封鎖に対する非海陸的代替策』が、果たして実際にエネルギー不足を補完し得るのかを、厳しく問い直す契機となっている」と述べた。
中共の石油備蓄量は国家機密とされているが、推計によれば、国内にはおよそ11か所の石油備蓄基地が存在するとみられている。金融調査大手バーンスタイン・リサーチの試算では、戦略備蓄と商業在庫を合わせれば、輸入需要のおよそ112日分を賄えるとされ、理論上は6〜8か月間の需要に対応できるという見方もある。
しかし、専門家は海峡の封鎖が長期化した場合、備蓄の消費ペースが急速に加速し、実際に維持できる期間は大幅に短縮される恐れがあると指摘している。
石油供給への圧力が高まる中、中国石油化工集団(シノペック)は、中東からの輸入量約40日分に相当する備蓄原油の放出を当局に申請したが、中国共産党はこれを承認しなかった。
分析筋は、エネルギー供給の停滞が長期化すれば、経済活動にとどまらず国民生活全般にまで影響が及ぶ可能性があるとして、警鐘を鳴らしている。
台湾国防安全研究院の沈明室研究員は、「原油価格の上昇は、ガス料金や電力コストの引き上げへと波及する。エネルギー価格の高騰は、やがて物価全般の上昇を招き、インフレ圧力を一段と強めることになる。こうした連鎖的な影響は、中国経済にも確実に下押し圧力として作用するだろう。すでに戦闘は4週間に及んでおり、これが2か月、3か月と長期化すれば、その影響は一層顕在化すると見込まれる」と語った、
対応策をめぐっては、一部の分析において、中共が短期的にロシアなどからのエネルギー調達を拡大するほか、イランのエネルギー企業と水面下で交渉を進める可能性があると指摘されている。
一方、現在の地政学的緊張を踏まえると、中共が米国と協調して今回のエネルギー危機の打開を図る可能性は低いとの見方も示されている。
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