中国の映像作品やアニメで活動する声優の間で、制作側や動画投稿者によるAI音声の無断利用が進み、仕事が減り、収入にも影響が及んでいる。
問題となっているのは、映画やアニメなどの音声を切り出し、制作側や動画投稿者がAIを使ってそっくりな声を作る手法だ。再現度は90%以上ともされ、複数の声を混ぜて本人を特定しにくくするケースもあるという。
複数の著名声優は、自身の声を無断で加工され公開しているとして、「表現者の権利を侵害し、収入にも影響が出ている」と訴えている。これを受け、制作スタジオや声優らが連名で声明を発表し、無断収集・商用利用・収益化の禁止を求めた。
こうした問題の背景には、権利保護の難しさがある。侵害の証明が難しく、訴えても証拠が認められないケースが多い。加えて、侵害者が未成年であったり、賠償能力がない場合もあり、判決が出ても実際に補償は行われないこともある。
現場では、動画投稿者や制作側がAI音声を使ったコンテンツを拡散し、権利者からの申し立てや通報で削除しても、別のアカウントで次々と再投稿される状況が続いている。
声優の間からは、AI音声について「人の声にある温かさや息づかいまでは再現できない」との声も上がるが、コスト削減を優先する制作現場では、AIの再現性で十分と判断するケースが増えている。このため新人は仕事を得にくく、時間と費用をかけて技術を身につけても将来が見えにくい状況となっている。
専門家は、声そのものを権利として登録・管理する仕組みや、プラットフォーム側による規制の必要性を指摘する。ただし現状では制度が追いついておらず、対応は遅れている。
長年、作品に命を吹き込んできた声優にとって、AIの使い方次第で職業そのものを揺るがす存在となりつつある。人の声が持つ価値がどこまで守られるのかが問われている。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。