米希土類企業のUSAレアアースは4月20日、28億ドル相当の現金と株式で、ブラジルのレアアース採掘会社セラ・ベルデを買収すると発表した。狙いは、中国共産党(中共)がレアアースのサプライチェーンで握る主導権に対抗することにある。
これは同社による一連の買収の最新案件で、採掘、加工、磁石製造の各分野における競争力をさらに高めるものとなる。買収完了後、USAレアアースはセラ・ベルデのペラ・エマ鉱山を傘下に収める見通しだ。ペラ・エマ鉱山は、他の多くの鉱床と異なり、重希土類を豊富に含んでいるため、極めて有望視されている。
米商務省は今年1月、USAレアアースに出資しており、トランプ政権が中国に依存しないレアアースサプライチェーンの構築を重視していることが浮き彫りになっている。レアアース元素は、電子製品やレーザー誘導兵器、先進的な戦闘機の製造に不可欠だ。
米中による地政学的な駆け引きが続く中、レアアースは中共がアメリカや同盟国に圧力をかける際の重要な交渉材料となっている。中共は現在、世界のレアアース採掘の70%、加工の90%を握っている。
西側諸国の当局者はこれまで繰り返し、中共によるサプライチェーンでの支配的地位は戦略上の課題だと指摘してきた。とりわけ、クリーンエネルギーへの移行が加速し、重要鉱物の需要が指数関数的に増加(数量が短期間で急激に増加する様子)すると見込まれる中で、その懸念は一段と強まっている。
USAレアアースは、セラ・ベルデ買収の取引が2026年第3四半期に完了すると見込んでいる。
USAレアアースのバーバラ・ハンプトン最高経営責任者(CEO)は4月20日、CNBCのインタビューで、「世界は単一の供給源に依存しすぎている。今こそ、この依存を断ち切る時だ」と語った。
さらにハンプトン氏は、この取引によって、すでに4種類の磁石用レアアースを生産している鉱山を活用できるようになり、これらのレアアースがアメリカ産業への供給源になると述べた。
また、同氏はブラジルの採掘会社セラ・ベルデの世界的な重要性は、同社がすでに「特別目的会社(SPV)」と15年にわたる長期引取契約を結んでいることからも明らかだと述べた。このSPVは、複数の米政府系機関と民間資本によって構成されている。この契約は、セラ・ベルデが生産する4種類の磁石用レアアース元素、すなわちネオジム、プラセオジム、ジスプロシウム、テルビウムの全量を対象としている。
これらのレアアース元素は、高性能永久磁石の製造に不可欠だ。
USAレアアースによるセラ・ベルデ買収について、セラ・ベルデのスラス・モライティスCEOはCNBCに対し、米政府は鉱山開発など上流分野への投資促進に向けて「非常に積極的」に取り組んでおり、特にレアアースの最低価格の設定に力を入れていると語った。
モライティス氏は声明でさらに、「レアアースは戦略の要だ。国家安全保障、エネルギー安全保障、技術的優位性が集約する分野だ」と述べた。
同氏はまた、「西側のレアアース業界は重要な転換点にある。各国政府と戦略産業は、信頼できるレアアース供給源、特に希少な重希土類を切実に求めている」と語った。
ロイターによると、セラ・ベルデの鉱山は2024年初めに商業生産を開始したが、現時点ではまだフル操業には至っておらず、2027年までにレアアース酸化物の年間生産量は約6400トンに達する見通しだ。
USAレアアースの株価は、4月20日午後の取引で9%上昇した。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。