次期FRB議長に「テック界」型候補 AI時代の金融政策刷新か

2026/04/29
更新: 2026/04/29

次期米FRB議長人事に注目が集まっている。市場では、ケビン・ウォーシュ元FRB理事が次期議長に就任するとの見方が広がっており、「新技術をよく理解する議長候補」として、アメリカの金融政策に新たな視点を持ち込む可能性があるとみられている。

ウォーシュ氏の人事案は、共和党が多数を占める上院で、順調に承認される可能性が高いとの見方が出ている。

ウォーシュ氏は4月21日の公聴会で、「私は、FRBが現在インフレを判断するために用いているデータは、実際には非常に不完全なものだと考えている。経済学界において、そしてもし私がFRB議長に任命されれば、FRBが取り組むべきことの一つは、新たな知見とデータソースを活用し、アメリカ経済の実際のインフレ率を見極めることだ」と語った。

ウォーシュ氏は、FRBの現在のインフレ判断には「明らかな不備がある」と率直に批判し、生産性の向上によって物価上昇圧力が抑えられ、利下げの余地が生まれるとの考えを示している。

「もし利下げが可能になれば、より幅広い人々がその恩恵を受けることになる」との考えを示した。

率直な物言いと、シリコンバレーのテック業界に通じる発想を持つことから、ウォーシュ氏は「新技術を最も理解している」FRB議長候補とみられている。同氏の投資先にも、テクノロジーやベンチャー投資への強い関心が表れている。

同氏の最大の投資ポジションは、プライベートファンドのジャガーノート・ファンドで、その規模は1億ドル規模。上場株などでは、UPS、クーパン、S&P500指数連動型ファンドに投資している。

また、AIや自動化関連のスタートアップにも積極的に投資しており、暗号資産関連投資会社Polychain Capitalや、予測市場プラットフォームのPolymarketにも出資している。投資領域は、スペースXなど宇宙・防衛テクノロジー分野にも及んでいる。

ウォーシュ氏は2025年7月17日、「AIは、ほぼすべてのもののコストを引き下げるだろう。アメリカは大きな勝者になる可能性がある。私が懸念しているのは、中央銀行がこの点をまったく認識していないことだ。1978年の(経済)モデルに固執し、旧来の政策運営を続ける中央銀行が、私たちが生産性の飛躍的な高まりの入り口に立っているかもしれないことに気づいていない」と指摘した。

ウォーシュ氏はこれまで、AIがもたらす生産性の飛躍が、インフレの構造を大きく変える可能性があると繰り返し強調してきた。

市場分析では、今後のFRBの政策は、金利調整にとどまらず、供給面や生産性の変化をより重視する方向に移る可能性があると指摘されている。具体的には、市場との対話の見直し、金利の先行きに関するフォワードガイダンスの比重低下、バランスシート、つまり保有資産の縮小の継続などが挙げられる。

アメリカ経済は今後、「高成長・低インフレ」という新たなモデルへ向かう可能性がある。ウォーシュ氏がFRB議長に就く可能性が高まる中、世界の金融市場にも新たな不確定要因をもたらす可能性がある。