中国 安さの裏で広がる前払い被害

中国で拡大する閉店被害 安いキャンペーンで会費集めて閉店

2026/05/01
更新: 2026/05/01

近年、中国では店が突然閉まり、支払ったお金が戻らない被害が相次いでいる。

長引く景気の低迷で、経営に行き詰まる店が増えている。その中で、「閉店を請け負う業者(職業閉店人)」や、「借金を肩代わりする名義人(背債人)」といった問題のある手口が広がっている。

この「借金を肩代わりする名義人」は、他人の会社の代表者や株主として名前だけを貸し、会社の借金やトラブルの責任を表向き引き受ける人物を指す。実際には経営に関わっておらず、資産もほとんどないため、問題が起きても返済できないケースが多い。こうすることで、実際の経営者は責任を逃れ、この名義人だけが表向きの責任者として残される仕組みになっている。

中国メディアの報道によると、2023年10月~24年9月にかけて、上海で人物が「0円」で4つのフィットネスクラブを引き継いだ。約200人から年会費やトレーニング料金を集め、合計75万元(約1700万円)の会費を受け取ったが、これらの店舗は早いところで2〜3か月、長くても5か月で相次いで閉鎖した。

手口は単純だ。まず経営不振の店をほぼ無料で引き受ける。次に安いキャンペーンを打ち出し、客に入会や追加の支払いをさせる。そして資金を集め終えたところで、店を閉めて連絡を断つ。

こうした「閉店を請け負う業者」は、債務の規模に応じて報酬を受け取る仕組みで、数万円から数十万円を請求するケースがある。

山東省でも、経営難に陥った幼児教育施設が第三者に引き継がれた直後に突然閉鎖し、保護者の前払い金約170万元(約3900万円)が返金されないままだ。従業員の未払い賃金も10万元余り(約230万円)に上るという。

元北京の弁護士で現在はカナダで活動する団体代表の賴建平氏は本紙の取材に対し、経済の低迷で生活に困る人が増え、正規の手段では収入を得られず不正な方法に流れるケースが広がっていると指摘したうえで、たとえ厳しい状況でも短期的な利益のために信用や責任を失うべきではなく、最低限の法意識と倫理観を保つ必要があると訴えた。

店を続ける余力を失った経営者と、短期間で現金を得ようとする業者の思惑が重なり、消費者が巻き込まれる構図が生まれている。安さにつられて支払った前払い金が戻らない問題はすでに、中国で誰にでも起こり得る現実となっている。

李凌
中国出身で、日本に帰化したエポックタイムズ記者。中国関連報道を担当。大学で経済学を専攻し、中国社会・経済・人権問題を中心に取材・執筆を行う。真実と伝統を大切に、中国の真実の姿を、ありのままに、わかりやすく伝えます!