「大学を出ても仕事がない」。そんな中国の若者たちが今、「焼き肉学校」に殺到している。
市内だけで2千店以上の焼き肉店があり、関連業界で約5万人が働く湖南省岳陽(がくよう)市で、中国初の「焼き肉職人」を育てる専門学校が設立された。
昨年7月に開校したこの学校(岳陽焼烤学院)」では、1か月の短期講座で炭火焼きなどの技術を学び、修了後には「焼き肉調理師証書」が発行される。受講料は5800元(約13万円)だ。
だが、話題を呼んだのは授業内容よりも応募者数だった。30人の募集枠に対し、全国から4千人以上が応募した。学校側によると、応募者の約80%は地元以外から集まったという。さらに注目を集めたのが、大学卒業者まで応募していた点だ。
大学を出ても仕事が見つからず、「まずは食べていける技術を身につけたい」と、職業高校に近い教育機関で学び直そうとする若者の姿が、中国の厳しい就職事情を映し出している。
この現象について、アメリカ在住の中国系経済学者・黄大衛氏は本紙の取材に対し、「本来は低賃金のサービス業が専門産業のように包装されている」と指摘した。そのうえで、「大卒でも希望する仕事が見つからず、飲食業や配達業へ流れる若者が増えている。中国の若者は、もはや豊かさではなく、生き残ることを優先する空気に変わっている」と分析した。
中国では近年、このような「職業特化型学校」が次々と誕生している。昨年には、広東省で配達員や宅配員を育成する「現代ライダー学院」を設立。遼寧省では「垢すり学校」と呼ばれて話題になった「風呂・健康産業学院」も登場した。
このほかにも、オレンジ栽培を学ぶ「オレンジ学院(江西省)」、ザリガニ料理を学ぶ「ザリガニ学院(湖北省)」、焼き魚学院(重慶)、現地名物「タニシだし麺(広西省)」の製造や販売を学ぶ学院など、各地でユニークな学校を次々に作っている。
かつて中国では、「いい大学に入れば人生が変わる」と信じていた。特に地方では、「勉強しなければ一生『山の外』へ出られない」と子供に言い聞かせ、家族総出で進学を支える光景も珍しくなかった。
しかし今では、焼き肉学校にまで大卒者が殺到する光景が現実となった。かつては「豊かな未来」のためだった進学が、今は「とにかく食べていくため」の学びへ変わり始めている。
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