EU支援の重要鉱物機関「EIT RawMaterials」のベルント・シェーファーCEOは、ヨーロッパは特殊金属やレアアースについて独自の価格指標を整備し、中国への依存を減らすとともに、採掘・加工分野への投資を促す必要があるとの見方を示した。
現在、中国共産党(中共)はレアアースを含む多くの重要鉱物のサプライチェーンを主導しており、価格も透明性に欠ける国内市場を通じて左右している。
シェーファー氏は5月20日、ロイターの取材に対し、透明性の高い価格基準がないため、西側の開発企業は投資判断を下しにくくなっており、ヨーロッパではコストの高い一部のプロジェクトが延期を余儀なくされていると指摘した。
価格形成を中共側に左右される状況を改めるため、EIT RawMaterialsはデジタル取引プラットフォーム「Metalshub」と協力し、「ヨーロッパ指数」の開発を進めている。この指数は、中共以外の市場で取引される重要鉱物について、透明性が高く、市場に基づいた価格基準を示すことを目的としている。
シェーファー氏は、これにより投資家に採算性を判断するための明確な材料を示し、新規プロジェクトの資金調達を後押しできると述べた。
同氏は取材の中で、「中国から示される価格は市場全体を代表しているとは言えない。厳密なミクロ経済学の観点から見ても、本来の市場価格とは言えない」と強調した。
さらに、ヨーロッパが域内で加工できる体制と透明な価格形成の仕組みを整えなければ、多額の資金を投じて採掘した鉱物が、最終的に「中国のサプライチェーンへ流れ込む」可能性があると警告した。
この取り組みは、米欧が進める重要鉱物分野での協力強化とも連動している。
アメリカとEUは今年4月末、重要鉱物の安定確保とサプライチェーン強化に向け、連携して取り組むことで合意した。レアアースや永久磁石をめぐる中国依存を減らすことが狙いだ。この合意には、価格下限の設定、価格差を補う補助措置、その他の貿易措置などが盛り込まれる予定だ。
EUは2030年までに、戦略的原材料の年間需要の10%を域内で採掘・調達する目標を掲げている。また、特定の第三国への依存度を年間需要の65%以下に抑えることも目指している。
EUは昨年末、サプライチェーンの多元化を加速させるため、30億ユーロ規模の「RESourceEU」行動計画を発表した。ただ、実際の進展はなお限定的で、現在のところ、イタリア、フランス、ドイツが主導する試験的な共同備蓄計画にとどまっている。この計画では、タングステンやガリウムなどの金属が備蓄対象に含まれている。
シェーファー氏は、この新たな価格指数はヨーロッパに限定されるものではなく、将来的にはアメリカ、オーストラリア、カナダ、イギリスなどの貿易相手国とも連携を広げられるとの見方を示した。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。