「習主席が去るまで出るな」 米記者団が北京で体験した中共の監視体制

2026/05/26
更新: 2026/05/26

今月14日午後、トランプ米大統領と習近平が天壇を視察した際、同行していた米国側の報道陣が中国側の警備担当者によって休憩室へ誘導され、取材活動を制限される一幕があった。視察終了後も、記者団は大統領車列への合流を認められず、「習主席が離れてからでなければ外に出られない」と通告されたという。

車列に取り残されることを懸念した記者らは、最終的に自ら外へ飛び出して合流した。米国側で記者団の調整を担当していたホワイトハウス職員は、中国側関係者に対し、「立場が逆なら、トランプ政権はこのような対応はしない」と抗議した。

専門家らは、この出来事の背景には米中の報道制度に対する根本的な認識の違いがあると指摘している。中国では、報道機関は中国共産党体制の一部として位置づけられ、報道内容に自主性はなく、党の指示に従って運営される。一方、米国では報道機関は政府を監視する「第四の権力」とされ、自由な報道活動は憲法によって保障されている。こうした制度上の違いが、今回の対応にも表れたという。

ベテランメディア関係者の李粛氏は、新唐人テレビの番組の中で、「取材現場における米中両国の報道機関や記者に対する扱いは、まさに天と地ほど異なる」と述べ、その背景には両国の異なる政治制度があると分析した。

李氏によれば、米国では報道機関や記者は政府組織から独立しており、立法・司法・行政に並ぶ民主制度の第四の柱として、世論による政府監視の役割を担っている。このため、報道内容や取材方法について高い自由度が認められているという。

具体例として李氏は、昨年9月に米国防総省が国防関連を担当する記者に対し、「特定の情報を掲載しないことに同意しなければ国防総省への立ち入りを認めない」と通告した事例を紹介した。これに対し、記者らは自主的に撤退。その後、今年3月には米連邦地裁判事が、この措置は米国憲法に違反すると判断し、記者らの自由な取材活動を回復するよう命じたという。

これに対し、中国では報道機関も記者も共産党体制の一部であり、中国共産党中央宣伝部の直接管理下に置かれている。そのため、党や政府は報道機関に対して随時命令や統制を行うことが可能であり、自由報道の概念自体が存在しないと李氏は指摘する。重大な案件では、新華社通信や『人民日報』、中国中央テレビ(CCTV)が発表した統一原稿を、他メディアがそのまま転載するのが一般的だという。

台湾の国防安全研究院研究員である沈明室博士は、中国側警備担当者の行動について、「習近平が現場にいる間は、記者が自由に動き回ることを認めないのが彼らの規則だ」と説明した。記者が立ち入り禁止区域へ向かったり、撮影してはならないものを撮影したりすることを警戒しているためだという。

その一方で、米国記者団にとっては、中共式の厳格な警備体制は極めて異例だった。沈氏は、「彼らは『大統領車列と一緒に来た以上、帰る時も当然一緒に移動する』と考えていた」と指摘した。

沈氏はまた、今回の出来事について、「米国記者たちは社会主義中国における強制的な管理体制を身をもって体験し、中共政権下の関係者に対して『非常に不親切だ』との印象を抱いた可能性がある」と述べ、「これは中国が維持しようとしている大国のイメージを損なう結果になった」と分析した。その一方で、中国側警備担当者にとっても、米国記者の自由奔放さや強硬な姿勢を目の当たりにする機会になったという。

ホワイトハウスでは通常、記者団は大統領から10メートル程度の距離で大声で質問を投げかけることができる。しかし北京では状況が大きく異なり、訪問期間中、トランプ氏に対して質問を発することができた記者はほとんどいなかった。

FOXニュースのピーター・ドゥーシー記者は、「現場には非常に厳格な儀礼・警備規定が存在していた」と説明した上で、「中国側関係者の許可がない限り、中国人記者だけでなく、同行していた米国記者も発言することを許されなかった」と証言した。

さらに、トランプ大統領に同行した米国記者団は、中共による報道統制だけでなく、中国社会全体に張り巡らされた監視システムも体験することになった。

今月13日、FOXニュース司会者のブレット・ベイヤー氏は番組の中で、「北京市海淀区の駅前交差点だけで、少なくとも20台の監視カメラを数えた」と語った。「これらのカメラは四六時中、人々を監視している。至るところに存在している」と述べた。

また、「中国にいる限り、人々のあらゆる行動が監視対象になる」と指摘し、「われわれの運転手が2分間違法駐車したところ、すぐに携帯電話へ罰金通知のメッセージが届いた。監視カメラに撮影されていたため、約40ドル(約300元)の罰金を科された」と明かした。

ベイヤー氏は自身の体験を踏まえ、「ビッグ・ブラザーが常に見ている。北京には監視カメラが至るところに設置されている」と語った。