ロイター通信が6月30日に報じたところによると、トランプ政権は外国製インバーターに対する輸入制限措置を検討している。関係者によれば、主な対象は中国製品になる見通しで、中国共産党がこれらの重要設備を通じてアメリカの電力供給に干渉するリスクに備える狙いがある。措置は早ければ年内にも打ち出される可能性がある。
ロイターは匿名の関係者5人の話として、米連邦通信委員会(FCC)が外国製インバーターの新機種を対象にした規制案を作成していると伝えた。ヨーロッパでも最近、中国製エネルギー設備への審査を強化する動きが出ており、今回の措置も中国製エネルギー設備をめぐる国家安全保障上のリスクに対応するものとみられる。
安全保障上の懸念
インバーターは、太陽光パネルが発電した直流電力を、家庭などで使える交流電力に変換し、電力網に送る装置である。太陽光発電や蓄電システムにおいて、重要な制御機器とされる。
近年、陽光電源(Sungrow Power Supply)やファーウェイをはじめとする中国企業は、世界のインバーター供給の約8割を占めるまでになっている。低価格戦略によって、欧米市場でのシェアも大きく伸ばしてきた。
しかし、アメリカの専門家が過去に中国製インバーターを分解した際、本来想定されていない通信機器が見つかった。中には携帯通信機能を持つ無線装置も含まれていたという。
専門家は、こうした通信機器が悪用された場合、ファイアウォールなど既存の安全対策を迂回し、遠隔操作でインバーターを停止させたり、設定を書き換えたりする恐れがあると指摘している。その結果、電力網の安定性が損なわれ、極端な場合には大規模停電につながる可能性もある。
EUも中国製設備を警戒
EUは今年5月、一部の公的資金によるエネルギー関連入札で、中国のインバーター企業の参加を制限し、エネルギー設備の安全審査を強化した。この決定が、アメリカで関連措置を再び進めるきっかけの一つになったとみられる。
関係者によれば、規制案は今後修正されたり、棚上げされたりする可能性もある。ただ、今回のトランプ政権の対応は、これまでよりも踏み込んだものだという。
FCCとホワイトハウスはいずれも、この規制案についてコメントを控えた。一方、中共在ワシントン大使館は強く反対する姿勢を示した。
過去にも検討
トランプ政権が中国製インバーターへの対応を検討するのは、今回が初めてではない。関係者によれば、昨年夏、ホワイトハウスの国家エネルギー優位委員会は商務省に対し、禁止措置の策定を急ぐよう指示していたが、その後、計画は棚上げされた。商務省はロイターの取材に回答しなかった。その後、この問題はFCCが引き継いだ。
FCCは昨年12月と今年3月、外国製の新型ドローンとルーターについて、それぞれ機器認証を制限した。これにより、関連する新製品の米国市場への投入は承認されなくなった。
これらの規制では、企業がアメリカ市場への参入に向けて免除を申請することは認められている。ただ、これまでに中国企業が承認を受けた例はない。FCCはロイターに対し、これらの規制は「完全に国に中立的であり、特定の国を対象にしたものではない」と説明している。
また、2026会計年度の国防権限法に基づき、米国防総省は、中国など「懸念される外国事業体」に関係する企業が製造した太陽光関連設備の調達を禁じられている。
供給網への影響も
米シンクタンク、アメリカン・エンタープライズ研究所の欧州問題専門家ヘザー・コンリー氏は、G7首脳が今月、中国への重要鉱物依存を減らすために協力することで合意したことを踏まえ、こうした措置は対中政策で米欧の協調がさらに進む可能性を示していると指摘している。
メリカでは、太陽光発電用インバーターの9割以上を海外からの供給に頼っている。中国ブランドの市場シェアも高いため、関連規制が導入されれば、エネルギー産業の供給網に影響が及ぶ可能性がある。
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