伊藤忠商事は、電通グループと戦略的提携を結び、リテールメディアとITサービスの事業基盤を強化する。提携の一環として、伊藤忠グループは電通総研に対する株式公開買い付け(TOB)を実施し、電通グループと共同で同社の非公開化を目指す。
買付総額は最大2152億円で、伊藤忠グループの出資比率は最大38.22%となる予定であり、将来的には、提携の枠組み全体で投資利益率(ROI)8%以上の達成を目標とする。
1株2880円で公開買い付け
TOBは伊藤忠商事の子会社を通じて行い、電通総研の株式を1株2880円で買い付ける。現在、電通グループは電通総研の株式61.78%を保有している。
公開買い付けの成立後、伊藤忠グループと電通グループは共同で電通総研を非公開化する計画である。国内外で必要な許認可を取得した上で、2026年11月上旬をめどに買い付けを開始する。
リテールメディア分野では、伊藤忠グループがファミリーマート等の店舗やアプリという顧客との窓口と、電通の広告関連データや人工知能(AI)技術を組み合わせる。
伊藤忠グループのリテールメディア基盤は、1日当たり1500万人以上の来店客を抱える。日本の成人人口の50%以上に相当する約6千万IDの購買データ「Life-Liveデータ」のほか、決済アプリ「ファミペイ」を展開している。
ファミリーマートでは、2026年7月時点で約1万1580店舗にデジタルサイネージ「ファミマTV」を設置している。
提携に伴い、伊藤忠グループのデータ・ワンとゲート・ワンは、電通との業務提携契約を締結する。電通が持つテレビを中心とする広告配信・閲覧ログやAIソリューションの開発力と、伊藤忠側の購買データを融合させる。
これにより、商品やサービスの認知から実際の購買までを一貫して最適化する統合マーケティング基盤の構築を目指す。
CTCと電通総研が業務提携へ
ITサービス分野では、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)と電通総研が業務提携契約を締結する予定である。
CTCは、ITインフラやクラウドの構築、通信・流通業界の顧客基盤に強みを持つ。一方、電通総研は、アプリケーション開発やコンサルティング、製造・金融業界の顧客基盤を強みとしている。
両社はそれぞれの技術や顧客基盤を組み合わせ、顧客の相互紹介や関連サービスの販売拡大を進める。システムの構築だけでなく、経営や事業の変革までを一貫して支援する事業モデルの確立を図る。
フィジカルAIやサイバーセキュリティーなどの新たな分野では、製品やサービスを共同開発する。海外事業での連携も拡大する方針である。
伊藤忠グループは今回の提携を通じ、メディア関連事業の売上高を伸ばすとともに、AI時代に対応した総合的なソリューションサービス事業への転換を進める。
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