中国共産党当局は、中国を「世界で最も安全な国の一つ」と繰り返し主張している。しかし近年、中国では面識のない人を狙う通り魔事件が相次ぎ、学校周辺で発生するケースも報告されている。各地の学校では、保護者が長い棒を持って校門前の見守りに当たる例が見られ、高齢の祖父母が当番を担うこともある。
こうした状況を受け、インターネット上では驚きの声が広がっている。保護者による「登下校見守り当番」をめぐっては、当番の割り振りなどに問題があるとして、不満の声も上がっている。
中国メディア「封面新聞」は9月19日、四川省楽山市五通橋区の二碼頭小学校をめぐる保護者の訴えを報じた。児童の登下校時間帯に、保護者が校門前の「登下校見守り当番」に立つことを、学校が事実上義務付けているという。共働き世帯などにとっては、日常の仕事との両立が困難になるとの訴えが出ている。
「見守り当番」とは、小中学生の登下校時の安全を確保するため、学校の校門前や周辺道路に見守り・警備の人員を配置する体制を指す。通常は、学校関係者と保護者が共同で当番に立つ。
訴えを寄せた保護者によると、見守り当番に参加するため、多くの家庭が祖父母に代理を頼まざるを得ず、費用を払って代行を依頼する家庭もあるという。
保護者が示した「楽山市五通橋区牛華鎮二碼頭小学校・見守り当番業務規定」によると、見守り当番は学校の管理職、警備員、保護者で構成され、毎日4人の保護者を配置することになっている。
9月18日の現地取材では、当番に立っていた4人はいずれも祖父母世代とみられ、最も高齢の人は67歳だった。報道に掲載された写真には、見守り当番と記されたベストを着た高齢者4人が、それぞれ長い棒を持って校門前に立つ様子が写っていた。
全国に広がる見守り当番
公開情報によると、中国では全国の小中学校や幼稚園に見守り当番の設置が求められている。中国の公安部と教育部は2015年、全国の都市部にある小中学校と幼稚園を対象に、見守り当番の設置と、登下校時間帯における重点警備体制の整備を全面的に進めるよう求める通知を出した。
学校の規定では、見守り担当者は専用の服装を着用し、器具を携行した上で校門の両側に立つ。学校の警備担当者を補助し、安全上のリスクに対処することに加え、「犯罪行為を発見した場合は速やかに阻止する」とも記している。
ネットで驚きの声
インターネット上で拡散された映像には、山西省太原市の第32中学校の校門前で、保護者らが一列に並び、全員が長い棒を手に当番に立つ様子が映っている。
コメント欄には、次のような反応が寄せられた。
「安全だというなら、なぜこれほど多くの人が見張らなければならないのか。安全ではないというなら、なぜこれほど多くの人が見張っているのか……」
SNS「X」でも議論を呼び、次のような投稿が寄せられた。
「ほかの国で、このような光景を見たことがあるのか。『最も安全な大国』だそうだ」
「社会はどうしてこうなってしまったのか。登校はそれほど危険なのか。以前はこんなことはなかった」
「あれ? ここは『最も安全な国』ではなかったのか」
「このような『安全』は、むしろ恐ろしい」
「子供一人が登校するために、家族総出で駆り出される」
さらに、「もし刃物を持った犯人に遭遇した場合、高齢者を刃物の前に立たせるのか。それとも犯人を笑わせるだけなのか。高齢の祖父母を、上層部の体面を取り繕うための『安価な人間の盾』として扱っている。本来は行政と学校が負うべき責任を、教育局は『任意参加』の一言で押し付けようとしている」と批判する声もあった。
見守り当番をめぐる事故
2026年1月5日には、広東省茂名市で、若い母親が寒風の中、子供を背負いながら見守り当番に立ち、旗竿を手にする様子を撮影した映像が拡散された。
また、2025年12月29日には、湖南省張家界市の小学校で、45歳の保護者が「護学崗」のボランティア活動中に突然倒れた。現場では救急要請と救命措置が行われ、その後、病院に搬送されたが、同日午後7時8分に死亡が確認された。当局は、当該保護者が見守り活動中に倒れたことを認めている。
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