中国で習近平を公然と笑いものにしたら、ただでは済まない。そんなことは、いまさら説明するまでもない。
だが今回、襲われたのは中国ではなく台湾の店だった。
きっかけは、習近平を笑いのネタにした公演だった。2025年12月、芸人の黄逸豪氏が台北の喜劇クラブで習や中国政治を風刺し、その映像がネットで広まった。
それから約5か月後。黄氏が再び舞台に立つ予定だった当日、店に塗料と糞便がまかれ、公演は中止に追い込まれた。
台湾検察の捜査によると、実行役は別の男から犯行を依頼され、5万台湾ドル(約25万円)を受け取った。さらに、依頼した男は中国側の身元不明人物から指示を受けた疑いがあるという。
検察は台湾人の男2人を起訴し、この事件について、中国による「越境弾圧」に当たると断じた。一方、中国側はこうした見方を否定している。
気になるのは、似た事件が韓国でも起きていることだ。
9月、韓国の「習近平」という名の中華料理店に中国籍の男4人が侵入し、店内を荒らした。店名の文字は黒く塗りつぶされ、食材にも農薬とみられる物質がかけられた疑いがある。店主はその後、「習近平」の看板を下ろした。
韓国の事件については犯行動機が明らかになっておらず、台湾の事件との関連も確認されていない。
それでも、台湾では「習近平を風刺した店」が襲われ、韓国では「習近平の名を掲げた店」が襲われた。
中国国内で習近平氏を批判したら、ただでは済まない。それは世界が知っている。問題は、その「黙れ」が国境を越えてくるのかということだ。
中国の外に出ても、中国式の「言ってはいけない」に従わなければならないのか。今回の事件は、そんな問題を突きつけている。
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