中国共産党(中共)中央テレビは10月5~7日、ミャンマー北部の詐欺拠点を取り上げたドキュメンタリーを放送した。詐欺拠点に売られ、現地で「仔豚」と呼ばれていた男性は、「そこで初めて地獄とは何かを知った」と証言し、最後は腎臓を摘出され、その代償として拠点を離れることを許されたという。
一方、海外の調査や米司法当局の文書では、東南アジアの一部詐欺組織と中共の公安・情報機関とのつながりが指摘されている。中共当局による詐欺取り締まりの公式説明には疑問も出ている。
国営テレビ 詐欺拠点での腎臓摘出を報道
10月5~7日、中央テレビは公安部と共同制作したドキュメンタリー「ミャンマー北部の詐欺拠点壊滅記録」を放送し、ミャンマー北部にある一部の詐欺拠点の実態を伝えた。
番組では、かつてミャンマー北部の詐欺拠点に連れ込まれ、現地で「仔豚」と呼ばれていた男性が、自身の体験を語った。
「仔豚」とは、人身売買や就職詐欺で詐欺拠点に連れ込まれ、監禁下で詐欺を強要する人を指す。被害者でありながら、加害行為に加担させられる人々を指す隠語
男性によると、2021年に不法に国境を越えてミャンマー北部に入り、電話を使った詐欺に従事した。しかし、詐欺の「業績」が振るわなかったため、7万元の借金を負わされる書類に署名させられ、その後、複数の詐欺拠点に売り渡された。暴行も受けたという。
男性は、暴行で負った傷が化膿して歩行困難となった後、詐欺組織から「腎臓を売って借金を帳消しにしろ」と迫られたと証言した。
「腎臓一つどころか、ここから出られるなら、脚を切られても、腕を切られても構わない」
男性は絶望の中で要求を受け入れたという。その後、「移植の適合検査が通った」と告げられ、農家のような建物に連れて行かれ、腎臓の摘出手術を受けたと話した。
中共官製メディアは、このドキュメンタリーについて、公安当局が関係部門と連携し、ミャンマー北部で中国人が関係する犯罪を取り締まった過程を描いたものだと説明している。また、「四大家族(中華民国期に政治・経済の実権を握った)」などの犯罪組織を「徹底的に壊滅させた」としている。
亜太新城(詐欺集団)創設者「中共国安の情報員だった」
一方、近年の海外調査や当事者の証言、司法文書では、東南アジアの一部の詐欺・賭博組織と中共の公安・情報機関とのつながりを指摘している。公安部や国家安全部の関与を示す証言や文書がある。
ミャンマー東部ミャワディの経済特区、亜太新城(アジア・パシフィック・ニューシティ)の創設者、佘智江は2022年にタイで逮捕された後、収監中に外国メディアの取材に応じた。
佘智江は、2016年末にフィリピンで中共国家安全部の関係者から勧誘され、情報員になったと語っている。また、国家安全部や一帯一路に関する機密を知っていることを理由に、政治的迫害を受けたとも主張した。
米議会・行政府中国委員会の2025年の報告書によると、佘智江の亜太新城プロジェクトは過去に中共当局や中国企業から支援を受けていた。その後、大規模な詐欺拠点になったとされる。
公開情報によると、亜太新城はミャンマー東部カレン州シュエコッコに位置し、約3万人が関わる規模だという。
陳志事件で浮上した公安・国安とのつながり
このほか、注目されているのが、カンボジアのプリンス・グループ創設者、陳志をめぐる事件である。
プリンス・グループは2021年と2022年の2年連続で、中国財経サミットの「社会責任模範賞」を受賞し、中国メディアも同社を取り上げていた。
中共の元情報員を名乗るエリック氏は大紀元の取材に対し、陳志のプリンス・グループは、中共がカンボジアをはじめ東南アジアで秘密工作を進める上で、重要な協力者の一つだったと明かした。さらに、中共の情報機関にとって海外での資金源や活動拠点になっていたと語った。
エリック氏によると、北京や重慶から来た公安当局の関係者が、カンボジアにある陳志の私的施設「雲軒閣」で会議を開くのを目撃したという。
会議では、亡命中の漫画家「変態辣椒」こと王立銘を誘い出して拘束する計画が話し合われ、プリンス・グループが会議参加者の受け入れや接待を担ったと証言した。
米司法省の文書にも、プリンス・グループと中共公安部、国家安全部の関係者とのつながりが記されている。
文書によると、陳志とプリンス・グループ幹部は政治的な影響力を使い、詐欺活動への摘発を免れようとし、中共公安部や国家安全部の関係者と接触していた。
また、同グループの幹部が当局者に金品などの便宜を供与し、摘発情報を事前に入手していたとも記されている。さらに、陳志が国家安全部側と協力し、当局の摘発の動きを事前に把握していたと周囲に語っていた記録もある。
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