中国での臓器収奪を題材とするドキュメンタリー映画「国家の臓器(State Organs)」をめぐり、台湾の配給会社「雄獅影視」が脅迫を受ける事案が相次いでいる。爆発物を仕掛けるとの脅迫のほか、最近では同社の責任者を装って第三者を脅迫・恐喝する動きも確認されたという。
雄獅影視の責任者、管建忠氏は6日、台北市内でデモ行進とチャリティー上映会を開催した。管氏は脅迫を受けながらも上映を継続する考えを示し、「今回のデモ行進で最も重要なのは、恐怖を打ち破ることだ」と述べた。

デモ行進では「10月1日は国慶節ではない、覚醒の日だ」と記したプラカードが掲げられた。参加者は中国共産党政権下で犠牲となった人々を追悼するとともに、中国における臓器収奪をめぐる問題を訴えた。
管氏は「私は小さな会社を経営する一個人にすぎない。それに対し、中共は国家の力を使って越境弾圧を行っている」と指摘。「その圧力は非常に大きく、2年にわたって生命を脅かされてきた。司法や刑事捜査まで利用されている」と語った。
さらに、「中共が最も恐れているのは、多くの人が『国家の臓器』を見に来ることだ。それこそが最も恐れていることだ」と強調した。
7年間取材、臓器収奪を描く
「国家の臓器」は、カナダ人のレイモンド・チャン監督が7年間にわたる取材を基に制作したドキュメンタリー映画。元軍医や海外の調査団体、法輪功学習者らへの取材証言のほか、公的統計や独立調査の分析を交え、中国における臓器収奪の実態を描いている。
作品では、党、軍、医療機関などが関与したとする臓器移植をめぐる構造が取り上げられている。
同映画はニューヨーク国際映画賞など複数の賞を受賞したとされ、米アカデミー賞の長編ドキュメンタリー部門の選考対象にもなっている。
一方、海外では同映画の配給や上映に対し、中国側から妨害を受けたとする報告もある。
台湾では令和6年7月の初上映以降、150件を超える脅迫を受けたとされる。問題は台湾政府や立法院にも波及しており、中国当局による台湾など国外への圧力行使をめぐり、警戒を求める声が出ている。
「民主主義と人権を考える場」
台湾の教育系NGO「台湾教師連盟」の潘威佑理事長は、「これは単に映画を見るというだけではない。民主主義と人権について考える、非常に深い教育の場でもある」と述べた。
その上で、「民主社会で本当に大切なのは、投票できることだけではない。一人一人の生命の尊厳と自由が、国家権力によって恣意的に奪われてはならないということだ」と語った。
管氏への脅迫を受け、デモ行進では警察官が増員され、警戒態勢が敷かれた。
管氏は、台湾の対中政策を担当する行政院大陸委員会が問題について声を上げ、支援したことに謝意を表明。台湾の議員や政治家から上映継続を支持する声が寄せられていることにも感謝を示した。
その上で台湾総統府に対し、中国当局による越境的な圧力を防止するための法整備を進めるとともに、国際社会との連携を強化するよう求めた。
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