10月6日、ロイター通信は外交官4人と関係者1人の話として、中国共産党(中共)当局がWHOの次期事務局長選に、中共高官を土壇場で擁立する計画だと報じた。テドロス事務局長の後任を狙う動きで、中共による国際機関への影響力拡大に改めて注目が集まっている。
関係者によると、中共は国家衛生健康委員会の母子保健司長を務める宋莉を候補者として推薦する方針だという。
2023年のWHO西太平洋地域事務局長選挙をめぐり、国際保健分野の専門家ムケシュ・カピラ氏は、医療政策専門メディア「ヘルス・ポリシー・ウォッチ」に寄稿した分析記事で、宋莉が国際機関で中共の影響を受けずに活動できるか疑問を呈していた。
カピラ氏は当時、「中国(中共)は干渉を控え、彼女が真に独立して職務を遂行できるようにするだろうか。国際機関に勤務する中国人職員は、しばしば本国政府の意向に左右される。上層部の不興を買えば、召還されることさえある」と指摘した。
同氏はヘルス・ポリシー・ウォッチのコラムニストで、理事会メンバーも務めている。
英語版大紀元は以前、中共によるWHOへの浸透を詳しく取り上げた論説記事を掲載した。
記事は、中共がWHOへの影響力を拡大するため、長年にわたって計画的に働きかけてきたと指摘している。
その手法として、国連で台湾に代わる中国代表権を獲得し、WHOに参加したことや、数十年にわたり中共寄りの人物を送り込んだこと、WHOの財政的な弱みを利用したことなどを挙げている。さらに、債務外交によって発展途上国の票を取り込み、中共の意向に沿う指導部を後押ししてきたと論じている。
その結果、新型コロナウイルスの感染拡大という重大な局面で、WHOは中共当局の主張を繰り返し発信し、国際社会の対応を遅らせたという。また、台湾の医師らの警告を無視し、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の宣言にも消極的だったと批判した。
ロイターによると、宋莉と中共の在ジュネーブ国際機関中国政府代表部は、コメントの要請に応じなかった。
米国はかつてWHOへの最大の資金拠出国だった。米国の脱退後、WHOは中国からの資金への依存を強めており、中共による拠出の拡大に期待を寄せている。
しかし、中共の拠出額は米国の脱退によって生じた資金不足を補うには程遠い。WHOは大規模な組織再編を余儀なくされ、活動の縮小や幹部職の削減に加え、数千人の職員を削減している。
1期目と2期目のトランプ政権は、WHOの新型コロナ対応を繰り返し批判してきた。また、WHOが新型コロナウイルスの発生地である中国に偏った姿勢を取っていると非難している。一方、WHOはこうした指摘を否定している。
WHOは11月初め、各地域委員会の会合が終了した後、次期事務局長選の候補者全員を公表する予定だ。
WHOの規定では、宋莉を含む各国の候補者の情報は、10月29日のWHO欧州地域委員会の閉幕後に正式公表される予定だ。同委員会は、今年開かれるWHOの地域委員会の最後の会合となる。こうした不透明な仕組みが、事態をさらに複雑にしている。
WHOの公式サイトでは現在、サウジアラビア、ベルギー、カタール、ボツワナ、インドネシア、スペインの6か国の候補者が公表されている。
新型コロナウイルスの感染拡大をめぐって生じたWHOと中共の関係への不信感は、今も解消されていない。このため、宋莉が正式に推薦された場合、加盟国から厳しい目を向けられる可能性があるとみられている。
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