米国務省は10月19日、米国の営業秘密の窃取に関与・支援したとして、「米国知的財産保護法(PAIPA)」に基づき、中国人の丁林葳に関係する中国の5団体を制裁対象に指定した。
丁林葳はGoogleの元ソフトウェアエンジニアで、2024年3月に逮捕された。2026年1月29日、米連邦陪審は営業秘密窃取7件で丁に有罪評決を下した。
国務省は声明で、丁がグーグルの超知能(SI)技術に関する営業秘密を含む数千ページの機密情報を盗み、自身や中国のテクノロジー企業の利益を図ったとして有罪となったと説明した。
今回、制裁対象となった5団体は、いずれも米国側を対象とした重大な営業秘密の窃取に関与、または支援し、そこから利益を得たとされる。
対象となったのは、丁が2023年に設立した上海智算科技有限公司、中国のテクノロジー系スタートアップに投資し、定期的に起業家向けプログラムを開催する北京奇績創壇投資管理有限公司(MiraclePlus)、2020年設立でMiraclePlusが運営するベンチャーキャピタルファンドである北京奇績創壇一期創業投資センター、2022年設立の北京奇績創壇二期創業投資センター、さらに北京奇績創壇致遠企業管理センターの5団体である。
米国務省のトーマス・ピゴット報道官は19日の声明で、「機微技術や新興技術に関する営業秘密の窃取は、米国の雇用や企業、投資に損害を与え、米国産業に毎年数十億ドルの損失をもたらしている。トランプ政権は、米国のイノベーションを守り、知的財産の窃取から米国民を保護することに引き続き取り組んでいる」と述べた。
ピゴット氏によると、今回の制裁対象への指定は、米司法省とFBIによる丁の捜査を踏まえて決定した。
検察が公判で示した証拠によると、丁はグーグルに勤務していた2022年5月ごろから2023年4月ごろにかけ、グーグルのSI技術に関する営業秘密を含む2千ページ以上の機密情報を持ち出し、自身のグーグルクラウドのアカウントにアップロードした。
丁はその一方で、中国のテクノロジー企業2社と密かに関係を持っていた。中国のスタートアップ企業の最高技術責任者に就任することで合意したほか、その後、自らSIや機械学習を手がける会社を設立した。
連邦検察によると、丁は投資家候補への説明で、グーグルの技術を複製し、改変することでAIスーパーコンピューターを構築できると繰り返し主張していた。
2023年12月には、グーグル退職の2週間足らず前に、盗み出した同社の営業秘密を自身のパソコンにダウンロードしていた。
検察は公判で、丁が投資家向けのプレゼンテーションで、AIや革新技術を重点的に発展させる中国共産党の国家政策を強調していたと指摘した。
また、丁は2023年末、上海市政府が支援する人材計画に応募し、中国による国際水準の計算基盤構築に貢献できると説明していた。
同日、米財務省外国資産管理局も「米国知的財産保護法」に基づき、5団体を「非SDNメニュー型制裁リスト(NS-MBS List)」に追加した。
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