中国 批判殺到で公開見送りか

中国の武漢封鎖を「感動の映画」に? 市民「ふざけるな!」

2026/11/07
更新: 2026/11/07

感動させるはずが、怒らせてしまった。

中国の厳しいゼロコロナ政策を背景に、2020年の武漢封鎖を「英雄の物語」として描いた映画『白衣逆行者』が、公開予定日の11月6日になっても上映されず、事実上の公開延期となった。

公開見送りの背景にあるとみられるのが、中国のネット上で噴き出した市民の怒りだ。「あれは悪夢だった」「ふざけるにもほどがある」「いったい誰を感動させたいのか」「ようやくふさがった傷口を、またえぐるのか」など、封鎖の苦しみを美談にすることへの批判が相次いでいる。

主演は香港の俳優アンディ・ラウ(劉徳華)。製作費は40億円超とされ、2020年に撮影を終えながら、約6年間公開されなかった大作だ。

映画は、76日間に及んだ武漢封鎖を舞台に、白い防護服を着て感染症と闘った医療従事者らの奮闘を描く。「76日間、1000万人、生死の境界線」を宣伝文句に掲げ、11月6日の公開が発表されていた。

 

都市封鎖

当時の中国では、「感染防止」の名の下に、厳しい都市封鎖や強制隔離が繰り返された。家に閉じ込められ、食料も薬も手に入らない。突然、隔離施設に連れて行かれ、留守中に愛犬を殺された人もいた。

白い防護服を着た防疫要員は「大白(ダーバイ)」と呼ばれた。感染の危険を顧みず働いた人々がいた一方、住民の家のドアを壊して押し入り、室内に消毒液をまき散らすなど、強引な行為も相次いだ。金品を盗まれたと訴える住民までいた。

当時は「大白が団地住民の生殺与奪の権を握っている」とまで言われた。外出できるか、食料や薬を手に入れられるか。人々の暮らしや命さえ、防疫要員の判断に左右されかねない異常な状況だった。

そんな日々を経験した人々にとって、白い防護服は必ずしも「英雄」の象徴ではなかった。

ネット上では、映画を「地獄から来た大白、国民の悪夢」と改名すべきだと皮肉る声も上がった。

そして迎えた11月6日。中国の主要映画チケット販売サイトではチケットを購入できず、映画情報サイト「豆瓣」では公開時期が「2027年(未定)」に変更されていた。

ネット上には公開取りやめを知らせるとされる通知文書も出回っているが、製作側から正式な説明はなく、批判が延期の原因となったかどうかは明らかになっていない。

 

イメージ画像。防護服姿で政府の隔離施設前に立つ防疫担当者。2022年12月7日、北京。(Kevin Frayer/Getty Images) 
李凌
中国出身で、日本に帰化したエポックタイムズ記者。中国関連報道を担当。大学で経済学を専攻し、中国社会・経済・人権問題を中心に取材・執筆を行う。真実と伝統を大切に、中国の真実の姿を、ありのままに、わかりやすく伝えます!