高智晟著『神とともに戦う』(56) “黄じいさん”の暴力的立ち退きから1年③

2004年5月14日、朱租德、王翠娣という上海の老夫婦が、私にあてた手紙で自分たちの窮状と絶望を訴えてきた。「上海市宝山区の地元政府と公安局が、警官、私服警察官、
2023/11/22

高智晟著『神とともに戦う』(55) “黄じいさん”の暴力的立ち退きから1年②

悪人が結託して悪さをすることにかけて、中国は「悠久」の歴史を有する。同じく、中国において、そのような「悠久の価値観」は、後代になればなるほどエスカレートするのである。中国の
2023/11/21

高智晟著『神とともに戦う』(54) “黄じいさん”の暴力的立ち退きから1年①

撤去される前の黄じいさんの家は、人民大会堂から3キロほどの所にあった。その家が破壊される数週間前、人民大会堂には3千人近くの人民代表が集まり、私有財産を「憲法」の保護に入れ
2023/11/18

高智晟著『神とともに戦う』(53) 道義が私を突き動かした③

この一連の裁判はどれも勝訴した。勝訴したからこそ、私には彼らについて批評することができる。 これらの裁判で我々が目にしたものとは何か。何よりも道義と良知に対する民衆の支持で
2023/11/17

高智晟著『神とともに戦う』(52) 道義が私を突き動かした②

あの数年間、私はこの種の案件に多々関わった。出稼ぎ労働者の子供で、3歳になる楊偉国くんは市場に遊びに来た時、魚介を売る屋台に置いてあった「ミネラル・ウォーター」を手に取って
2023/11/16

高智晟著『神とともに戦う』(51) 道義が私を突き動かした①

周成漢という子供も、鄒偉毅と同じように薬の過剰投与が招いた医療事故に遭い、同じように両耳の聴覚を失なった。そして、同じように私が裁判で弁護をしたが、この子は偉毅くんほど幸運
2023/11/15

高智晟著『神とともに戦う』(50) 障害児の無念を晴らすために⑤

道義が私を突き動かした 鄒偉毅くんの医療事故の案件は、私にとって生涯忘れえぬものとなった。当時、私は情熱を胸に、彼らのために身を粉にして努力した。そのことは、今思い出しても
2023/11/14

50年来の友人【私の思い出日記】

高1の2学期に転校をした。登校初日の不安そうな私に声をかけてくれたのがK子さん。その時の彼女の優しい笑顔が今でもはっきりと目に浮かぶ。学校が彼女の実家に近かったので、ご両親にもお世話になった。卒業後、彼女不在の時にも、彼女のお母さんを訪ねていろいろ励ましてもらったこともあった。彼女は高校時代に石浜みかる著『こんにちはイスラエル』(1965年)に感銘を受け、短大卒業後にキブツに単身留学。今改めて考えると彼女の勇気と決断には驚きではあるが、当時は私も好き勝手に生きていたので、彼女のイスラエル行も自然に受け入れていた。
2023/11/12 小泉道子

高智晟著『神とともに戦う』(49)障害児の無念を晴らすために④

相手は権力者だったので、この裁判の判決はなかなか下りなかった。春節(旧正月)の前、私は辛辣な言葉を添えたファックスを裁判所に送ったほか、原告の子供には200元を送金した。通
2023/11/11

人間は複数の魂を持てるのか?――24人のビリー【未解決ミステリー】

1977年の10月、米国オハイオ州立大学の近くでは、至る所に駐車している警察車両やパトロール中の警官が見られました。わずか2週間で、3人の若い女性が襲撃され、銀行に行って全額を引き出すよう強要されました。警察は多くの証拠を集めた後、犯人はビリーであると確信し、彼の家を急襲しました。
2023/11/02 扶搖

忘れられた地球の真実(2)空間を超える門【未解決ミステリー】

ドイツのバイエルン州には、300年前の古い家があり、解体の問題で家主が地元政府と争い、裁判に発展しました。しかし、実際、この家には誰も住んでおらず、裁判に出席したのは常に代理弁護士でした。
2023/11/01 扶搖

高智晟著『神とともに戦う』(48) 障害児の無念を晴らすために③

その日、法廷の審理は7時間にも及んだ。昼の休廷の時、依頼人たちと一緒に食事に出ると、子供の祖母は「今日のお昼は私がごちそうしますよ。断らないでくださいね。それじゃあ、あまりに
2023/10/27

高智晟著『神とともに戦う』(47) 障害児の無念を晴らすために②

この案件を7月末に引き受けてから、私は電話で現地に指示を出し調査を始めた。こうした地道な調査で、合わせて13の証拠を入手した。11月3日、私は助手を連れて瀋陽に行き、そこから
2023/10/25

高智晟著『神とともに戦う』(46) 障害児の無念を晴らすために①

私の担当した案件の一部には、なかなか興味深いものがある。あるいはニュースとして話題性のあるものといってもよい。それらはどれも社会的弱者への無料裁判援助や、被害児童への無償法律
2023/10/24

高智晟著『神とともに戦う』(45)司法部の野蛮行為に対する反論③

北京市司法局の無法ぶりを数え上げればきりがない。例えば毎年、中央省庁(司法部)の支持の下、憲法や法律に露骨に反して、弁護士および弁護士事務所に対するいわゆる「検査」を行っている
2023/10/19

高智晟著『神とともに戦う』(44) 司法部の野蛮行為に対する反論②

この頃、司法部(訳注、日本の法務省に相当)と北京市の司法局は、常軌を逸したかのごとく私への個人攻撃を行っていた。これは全く正気の沙汰ではなかった。実際、彼らのやることなすこと、
2023/10/18

高智晟著『神とともに戦う』(43)司法部の野蛮行為に対する反論①

私はかつて、「政府が何もしないことこそ、人民にとって一番の善行である」と題する文章をつづった。実際、何もしないほうが政府にとっても良いことなのだ。何もしないならともかく、一旦何
2023/10/17

不思議な「盲視」能力『ヴァネッサへの手紙』(3)【未解決ミステリー】

「盲視」が最初に発見されたのはヘレンという名前のサルからです。ヘレンはイギリスの神経心理学者ローレンス・ワイスクランツ氏の研究室に住んでいました。1965年、ヘレンは大脳皮質から視神経を切除され、それ以来失明してしまったのです。
2023/10/16 扶搖

高智晟著『神とともに戦う』(42)弁護士の使命(9)

いかなる非常識な行為、あるいは憲法に反する行為に対して、中国の「憲法」は全く制約する力を有していない。したがって、現実の日常には違憲の悪例があふれかえっている。一昨年の初め、私
2023/10/12

一見美しい絵には、実は残酷なストーリーが隠されていた。

豪華な古代の宮殿で、夢のような宴会が行われています。雪の吹きだまりのようなバラの花びらが散りばめられ、その中で若い男女が寝そべってはしゃいでいます。若きローマ帝王ヘリオガバルスは金色のローブを着て、宮殿の長いソファにうつ伏せになり、下の客たちが贅沢な喜びに浸っているのをゆったりと無関心に眺めています。空から花びらが降り続き、若い男女が花の色、香り、柔らかな感触に包まれて、完全に自分自身のことをすっかり忘れてしまいました 。
2023/10/09

高智晟著『神とともに戦う』(41)弁護士の使命(8)

法律を学ぶ者はもちろん、読者各位もよくご存知のように、憲法は法律の母として尊ばれている。これは国の規則であり、法律の法律であり、国家の政治秩序や法律秩序を安定させる基礎でもあ
2023/10/06

高智晟著『神とともに戦う』(40)弁護士の使命(7)

法律や法治を一種の目標として、意思や方法・信念の面で追求していっても危険がないのなら、それは喜ばしいことである。目標に通ずるその道のりに一歩踏み出せたら、気持ちが大いに奮い立
2023/10/04

高智晟著『神とともに戦う』(39)弁護士の使命(6)

3、弁護士使命の実践のために 弁護士はいかにして、自分の使命を実践するのか。ここで実際にまず向かい合わねばならない使命、それは「我々が直面する必要のある問題をきちんと理解す
2023/10/03

高智晟著『神とともに戦う』(38)弁護士の使命(5)

よく知られているように、弁護士が社会正義を実現する主なルートは、刑事事件における弁護である。しかしながら、中国では弁護士が右肩上がりで増える一方なのに対し、弁護士が関わる刑事事
2023/09/30

高智晟著『神とともに戦う』(37)弁護士の使命(4)

この原因は実に複雑を極める。制度について言えば、弁護士業が中国に導入されてよりこの方、弁護士が主流社会に入ったことなどないのである。真に法治を追求する国において、弁護士は、国
2023/09/29

高智晟著『神とともに戦う』(36)弁護士の使命(3)

訴訟を手がける弁護士として、これらはいずれも心に深く刻まれた思いである。例えば、かつて私が担当した「シリコン資産権をめぐる係争案」の一審で、私は大敗を喫した。これには、実に面
2023/09/28

高智晟著『神とともに戦う』(35)弁護士の使命(2)

公平および社会正義を守るという角度から言えば、刑事案件の弁護における弁護士の地位と役割は極めて突出している。訴訟は一般に、双方が争うという明確な特徴を備えているわけだが、この点
2023/09/27

ドイツの義兄【私の思い出日記】

3年前の3月、ドイツの義兄(次姉の夫)から電話がかかってきた。そんなことは初めてだったので驚いたが、自分の80歳のお誕生日のお祝いをするので、家族みんなで来てほしい。航空券を送るから、ぜひとのことだった。突然だったのと、コロナのこともあり、当然ながらその招待を受けることはできなかった。そして、彼(ライナー)はその年の10月に亡くなった。
2023/09/26 小泉道子

高智晟著『神とともに戦う』(34) 弁護士の使命(1)

1.弁護士の使命とは何か 弁護士の使命には2種類あると思う。すなわち理論面の弁護士と現実に身を置く弁護士、それぞれの使命である。理論面の弁護士の使命とは、人権・憲政・法制・社
2023/09/26

高智晟著『神とともに戦う』(33) 孤独な者の孤独な夜⑦

訴訟にかかわる弁護士として、私の人生は苦しいものである。過去も現在も、そしてこれからもそれが変わることはないだろう。
2023/09/23