著名「ケーキ店」が突然倒産 数千人の従業員の給料が、3か月も未払いのまま=中国

2024/03/23
更新: 2024/03/22

近年、経済の減速が目立つ中国。消費の落ち込みにより、不動産業の不振ばかりでなく、有名な企業やチェーン店がばたばたと倒れる「経済の多臓器不全」は、ますます顕著になっている。

そんな中国に外資系企業が次々と見切りをつけるなか、あまりにも突然に倒産する中国企業は少なくない。経済成長期には中国の民衆に大人気を博した店が、数ある店舗を次々に閉じていく様子は、景気の低迷を如実に表す光景として消費者へ与える心理的な影響も大きい。

今月16日、中国の24都市に支店をもつ有名なケーキ店「熊貓不走(邦訳:パンダは行かない)」が、従業員にも知らされず突然倒産したことがわかった。

現在、オーナーとは連絡が取れない状態になっている。そのため同店の従業員は、店の公式SNS(ウェイボー)アカウントを通じて未払い賃金の支払いを求めた。それによると、数千人の従業員がすでに3~4か月間も賃金が支給されていない。このほか、社会保険料の支払いもされていなかったという。

関連トピックスは中国SNSのホットリサーチ入りしており、注目を集めた。

ネット上では、同店の創業者・楊振華氏による従業員に対する謝罪メッセージのスクリーンショット画像が出回っている。

その画像のなかで楊振華氏は「経営上の失策やパンデミックなどの影響を受けて、会社は、もうどうにもならない。現在、私の全てをつぎ込んでも、借金を返済することはできない」と、絶望的な釈明をしている。

中国メディア「南方都市報」18日付は、ネットに出回っているこの創業者の謝罪メッセージが「本物」であることの確認がとれた、と伝えた。

「熊貓不走」が16日に、突然の業務停止を発表したその時も、多くのスタッフがケーキをデリバリー配達していたという。

同社の従業員によると、未払い給料のなかで最も低い金額は約2000元(約4.2万円)。最高額で約5.2万元(約109万円)にも上るという。

同社の本部所属の職員は「会社が倒産を宣言するまで(少なくとも表向きは)全てが正常だった。社長の逃走に関しても、何の前兆もなかった」と明かした。

「私も約2か月半の給料をまだもらっていない」という、この本部の職員によると「いま会社の上層部はみな口を閉ざしている。従業員は、法的な仲裁を申請するしかない」という。

同店の創業者、楊振華氏は18日夜、関連報道を行った「南方都市報」に連絡をとり「私は失踪したわけでも、金を巻き上げて逃げたのでもない。いま、なんとか会社を救う方法を探しているんだ」と主張した、という。 

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。
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