中国 社会全体がいつ爆発してもおかしくない圧力鍋の状態

社会報復事件の犯人 死刑執行 「広州天河事件」=中国広東省

2024/04/25
更新: 2024/04/26

 

中国広東省広州市の繁華街(天河路)の交差点で、昨年1月11日午後5時頃、黒い高級車が横断歩道を渡る人の列に突っ込み、通行人や自転車などを次々とはねたという事件が発生した。

「広州天河事件」と呼ばれるこの事件は、民間では著名な社会報復事件の1つとして認識されているが、なぜか当時の警察当局は、「事件」としてではなく「交通事故」として発表している。

今月19日、無関係な市民6人の命を奪い、29人を負傷させた「広州天河事件」の犯人、温慶運(当時22歳、男)の死刑が執行された。

判決書には「腹いせのために、故意に歩行者や道路設備に車をぶつけた後、逃走しようとした」などと記されている。

当ネットに投稿された現場動画や目撃者によると、車は混雑した道路を往復などして、700メートル以上にわたって暴走していた。また、動画には、はねられた多くの人々がぐったりと倒れている様子や、運転していた男が車を降り、紙幣(100元)らしきものをばらまいている様子なども映っていた。その男が逃走しようとしたが、警察に取り押さえられた模様なども映っていた。

その時、逮捕現場の動画によると、地面に押さえつけられた男(温)は「我々は仲間だ、黄坤明(広東省トップ・同省委書記)は私のおじだ…私は濡れ衣を着せられたんだよ…死ぬわけにはいかない」などと、不可解なことを叫んでいた。

「天河の事件」の現場は、付近に日系企業のオフィスが入ったビルが立ち並び、日本人が多く住む場所でもあった。

(広州天河事件)

 

「社会全体がいつ爆発してもおかしくない圧力鍋」

近年、中国各地で腹いせのために車を使った無差別殺傷事件が頻発しており、犯人への実刑(死刑)が相次いで執行されている。

「生計の問題だけなら、中国人をここまで自暴自棄にさせ、絶望させるには至らないだろう。中国人をこれほどまでに追い詰めたのは何か」ーー。ネット上では嘆きの声と共に、「いったいなぜ」と議論が絶えない。

台湾の国営通信社「中央通訊社」の邱国強記者はかつて次のように指摘する文章を発表していた。

「長きにわたる精神的な緊張は、中国の民衆を苦しめ、窒息しそうなプレッシャーによって、人々は伸びきった輪ゴムのような状態になったところなのだ。そこへ、上司からさらにキツイことを言われ、家庭内トラブルや事業の不調、学業の不振といったネガティブな事が重なると、ゴムはちぎれてしまうのではないか」

「そうして、銃もナイフも規制されている中国では、自動車がこうした絶望的な人にとっての恰好な凶器となりうるのだ」

近年頻発する暴走車事件について、国際法学者で民主活動家でもある賴建平氏はエポックタイムズの取材に対し、「いまの中国社会に蔓延る邪気は、中国共産党による統治の必然的な結果だ」と評した。

上海大学の元教授で著名な人権活動家の顧国平氏は、次のように分析する。

「今日の中国では司法はお飾りでしかなく、人々は不公正な扱いを受けても訴える場所すらないため、社会全体がいつ爆発してもおかしくない圧力鍋の状態になっている。その結果、このような社会報復を狙った何らかの凶悪事件が、ほぼ毎日のように起きている」

(2024年3月19日、北京、遼寧省瀋陽市、浙江省台州市と、1日に3件も「社会報復事件」が発生した)

 

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李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
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