2025年12月26日、中国浙江省温州市で、元警察官が実刑判決を受けた。
楊順敏(よう・じゅんびん)は、警察官として働く中で、役所に助けを求めてきた人たちが、力ずくで追い返される現場を見てきた。
こうしたやり方について、楊はネット上で「やりすぎではないか」「弱い立場の人があまりにも報われない」と発言した。
しかし、その後の展開は急だった。
楊は当局を批判した後、逮捕された。「社会秩序を乱した」とされ、懲役2年6か月の実刑を言い渡された。
裁判では、証人のねつ造や、立件そのものの違法性が指摘されているにもかかわらず、判決は変わらなかった。
一方、楊が担当していた地域では、1千人以上の住民が連名で「まじめで、賄賂を取らず、貧しい人にも手を差し伸べる警察官だった」と訴えている。
ネット上では「悪いことをした人ではなく、正しいことを言った人が罰せられた」「これは正義が逆さまになっている」といった声が相次いだ。
本来、弱い人を守るはずの警察官が、その役割を果たそうとしただけで犯罪者にされる。
この事件は、中国社会で白と黒が入れ替わり、道徳や正しさが壊れつつある現実を静かに映し出している。
この事件は、中国社会で白と黒が入れ替わり、道徳や正しさが壊れつつある現実を静かに映し出している。
善悪の基準を権力が決める社会を、いったい誰が作ったのか。
だからこそ、中国で社会への恨みから起きる凶悪事件が報じられるたび、コメント欄には必ず同じ言葉が書き込まれる。
「出门左转是政府/出門左轉市政府(家を出て左を向けば、そこに問題の根源=政府がある)」
それは冗談ではなく、多くの人が感じている本音の表れでもある。
不満を訴えれば押さえ込まれ、正しいことを言えば罰せられる。
そうした社会が続く限り、怒りは静かにたまり、やがて歪んだ形で噴き出していくだろう。
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