中国 寒空で続く沈黙の行列 放置された訴えが限界に

中国新年前夜 北京に絶望の列【動画あり】

2026/01/07
更新: 2026/01/07

年越しを祝うはずの北京に、祝いの空気はなかった。2026年の元旦を前に、全国各地から集まった数千人の陳情民が、北京にある陳情局(信訪局)の周辺を埋め尽くした。

この記事は、本紙の姉妹メディアであるNTD新唐人テレビの記者による取材をもとに構成している。現場の状況については、実際に北京で陳情を行っていた女性、呉英さん(仮名)への電話取材で確認した。

現場は氷点下5度前後の厳しい寒さだった。受付番号を得るため、人々は長い列に並び続ける。2日並んでも順番が回らないことも珍しくないという。

防寒着もろくにない高齢者が、寒さに震えながら黙って列に立ち尽くしていた。周囲に会話はほとんどなく、聞こえるのは足踏みの音とため息だけだった。そこにあったのは新年への期待ではなく「もう行き場がない」という重苦しい沈黙だった。

徹夜で列に並んでいた高齢の男性が、受付直前で倒れ込んだ。呉英さんは生死は不明とした上で、「寒さと疲労で人が倒れることは珍しくない」と語った。

 

信訪局前で列に並ぶ陳情民。「2日待っても受付できない状況が続いている」と、現場にいた陳情民の女性が電話取材で語った。中国・北京、2026年1月(姉妹メディア・NTD新唐人テレビより)

 

張り詰めた空気は、やがて衝突へと変わった。陳情局周辺では、陳情民が当局側の要員とされる人物を取り囲み、地面に押し倒す様子が確認された。地方政府による強制的な連れ戻しなどを繰り返し受けてきた人々の怒りが、一気に噴き出した形だ。

中国には、土地の強制収用や不当判決、賃金未払いなどの被害を中央政府に訴える陳情制度がある。しかし実際には、受理されても地方に差し戻され、問題が解決しないケースが大半を占める。その結果、同じ人々が何年も北京に通い続けることになる。

呉英さんは電話取材に対し「もうめちゃくちゃだ。追い詰められ、反抗し始めている人もいる。心は冷え切り、焦り、空腹にもなる。抑圧が続けば、反発は避けられない」と語った。

新年を迎えても出口の見えない現実は、中国社会に積もり続ける不満と絶望の深さを、そのまま映し出している。

 

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!