日銀議事要旨2025年12月 利上げ継続へ 円安インフレ・経済成長を両立判断

2026/01/29
更新: 2026/01/29

日本銀行が1月28日に公表した昨年12月会合の議事要旨では、円安や労働力不足などに起因するインフレ圧力を、今後さらなる利上げを判断する際の重要な考慮要素として位置づけていることが明らかになった。

日銀政策金利0.75%引き上げ後の継続利上げがうかがえる

議事要旨の内容からは、昨年12月に政策金利を0.75%に引き上げ、過去30年で最高水準を記録したものの、政策委員会が今後も利上げを継続する用意があることがうかがえる。依然として低水準にある借入コストを引き上げる姿勢を見せている。

一部の委員は、インフレ要因を踏まえると現行の実質金利は依然として「顕著なマイナス圏」にあり、金融環境はなお緩和的で経済を下支えしていると指摘した。

議事要旨によれば、9人の政策委員全員が「今後の利上げ判断は経済成長目標の達成状況と物価上昇の見通しによって左右される」との認識で一致している。

一部のメンバーは利上げに慎重な姿勢を示す一方、他の委員は、企業による賃上げや原材料コストの価格転嫁が広がる中で、インフレがより粘着的かつ持続的になっていると指摘した。

複数の委員はまた、円安が輸入コストを押し上げ、より多くの企業が賃金や販売価格を積極的に引き上げていることが一層のインフレ圧力につながっていると述べた。

利上げペース議論:数か月おき提案も、スケジュール設定反対多数

将来の利上げペースについて、議事要旨では多くの委員が「日銀は事前に利上げスケジュールを設定すべきではない」とする一方、ある委員は「現在の政策金利は依然として中立金利を大きく下回っており、『数か月おき』の間隔で段階的に金融政策を引き締めるべきだ」と提案した。

別の委員は「緩やかで持続的な賃金および物価上昇メカニズムが形成されたかどうかを判断するためには、民間の観察や経験的データなど、より幅広い指標を評価する必要がある」と強調した。

円安の影響:輸入コスト上昇で家計圧迫、総選挙争点に

円安が生活コストを押し上げ家計を圧迫していることから、政策立案者の懸念が高まっている。生活コストの上昇は、2月8日に実施される日本の総選挙でも主要な争点の一つとなっている。

為替の影響に関し、議事要旨では一部の委員が「為替市場の変動に対応すること自体は金融政策の目的ではないが、円安がインフレ率に及ぼす影響を政策判断に反映させる必要がある」と述べた。場合によっては、潜在的なインフレへの影響も評価すべきだとしている。

また、別の委員は「円安や長期金利の上昇の一因は、日銀の政策金利がインフレ率に比べて低すぎることにある」と指摘し、「適切なタイミングで政策金利を引き上げることで、将来のインフレ圧力および長期金利の上昇を抑制できる」と述べた。

1月初旬には、円相場が1ドル=160円という重要な水準に迫ったが、その後、日米両国による「金利チェック」(当局による為替介入の前兆とされる)観測が広がり、直近2営業日で3%超の円高となった。現在は1ドル=153円前後で推移している。

物価目標達成見解分かれ:高田・田村氏が前向き主張

利上げの決定は全会一致で承認されたものの、議事要旨からは委員の間で物価目標達成に対する見方の違いがうかがえる。

経済と物価の動向について、複数の委員は「今後、食品価格の上昇圧力が徐々に弱まれば、実質賃金の上昇率はプラスに転じる可能性がある」と分析。そのうちの1人は「実質賃金の上昇率は2026年上半期にプラスに転じ、安定的に推移する」と見ている。

審議委員の高田肇氏と田村直樹氏は、昨年12月会合後の声明で「物価見通し」に関する表現に異を唱え、「日本はすでに物価安定目標を達成、または達成間近にある」と述べ、公式声明よりも前向きな立場を示した。

日本総務省統計局が1月23日に公表したインフレ率によると、2025年12月時点で日本のコア消費者物価指数(CPI)は前年比2.1%上昇し、日銀の2%目標を4年連続で上回った。

高田氏は1月23日の日本銀行会合で「迅速な利上げ」を提案したが、他の委員の支持を得られず、見送られた。

この結果を受け、市場では円安によって生じた追加的なインフレ圧力が、日銀に対し今後数か月以内に追加利上げを促す可能性があるとの見方が広がっている。

市場予測:4月1%利上げ確率80%、ロイター調査も9月までに利上げ示唆

ロイターが今月初めに実施した調査では、アナリストの多くが「日銀は7月まで追加利上げを見送る」と予想しており、そのうち75%以上が「9月までに金利が1%またはそれ以上に引き上げられる」と見ている。

スワップ市場では、円安によるインフレ加速を見込む動きが強く、「4月までに日銀が金利を1.0%へ引き上げる確率は80%」との予測が示されている。

呉瑞昌