米の海上封鎖「2隻が突破」と中国メディア 米中央軍は「ゼロ」と否定 

2026/04/15
更新: 2026/04/15

アメリカがイランに対して実施した海上封鎖は初日から影響を及ぼし、複数の商船が航路上で引き返す事態となり、中には中国船舶も含まれていた。中国メディアは一時、タンカーが封鎖を突破したと大きく報じたが、その後の航行データにより、実際には要衝の海域で方向転換し撤退していたことが判明し、報道の誤りが露呈したかたちとなった。

専門家は、米軍による封鎖がイランの石油輸出に深刻な打撃を与えるだけでなく、中国のエネルギー供給にも直接的な影響を及ぼし、その波及は拡大し続けていると指摘する。

封鎖2日目には、少なくとも3隻のタンカーがホルムズ海峡を通過したが、いずれもイランの港湾を目的地としておらず、アメリカの封鎖措置の対象外とみられる。

台湾国防部系シンクタンク「国防安全研究院」の沈明室研究員は、「米軍の封鎖はホルムズ海峡の東側で実施しており、狭隘な海域そのものを封じるものではない。すべての船舶の通行を禁じるのではなく、イラン沿岸や港湾から出航する船舶を対象としている。したがって、イラン側が通航を認めても、アメリカが許可しなければ通過はできない」と分析する。

米軍が封鎖した初日、中国メディアは、中国のタンカー2隻が封鎖を突破したと報道した。1隻は約25万バレルのメタノールを積載し中国へ向かう「富星号」、もう1隻はボツワナ船籍を掲げた中国関連の船舶で、封鎖を回避しようとしたとされる。

しかし、その後の船舶追跡データにより、これら2隻はいずれも海峡の屈曲点に差しかかった段階で急転回し、航路を離脱していたことが明らかとなった。

さらに米中央軍(CENTCOM)は声明で、「封鎖初日にアメリカの封鎖線を突破した船舶は一隻もなかった」と強調。加えて6隻の商船が米軍の指示に従い引き返し、オマーン湾内のイラン港へ再入港したと明らかにした。

人気時事解説番組の司会者・文昭氏は、「今回の深刻さは、封鎖期間中、中国がイランから石油を一滴も購入できない点にとどまらない。仮にアラブ首長国連邦やサウジアラビアから積み出された原油であっても、海峡通過時にイランへ通行料を支払えば、最終的に米軍に阻止される可能性がある」と述べ、「これは、中国のペルシャ湾からの原油輸入全体が事実上滞ることを意味する」と指摘した。

ホルムズ海峡は中国のエネルギー安全保障にとって極めて重要な要衝である。昨年のデータによれば、同海峡を通過する原油は中国の輸入量の約半分、国内消費量の約40%を占める。

この海上通路が封鎖されれば、中国経済の根幹に直接的な打撃を与えるだけでなく、国際金融システムの安定にも影響を及ぼし、連鎖的な経済波及を引き起こす恐れがある。

「国防安全研究院」の謝沛学副研究員は、「今回の措置は、中国が同地域から比較的安価なエネルギーを確保する経路を事実上遮断するものだ。さらに、関連産業への影響を通じて、化学肥料や食料など生活必需品の価格上昇を招く可能性がある」と指摘する。

また、イランがこれまで通行料や保護費の支払い手段として人民元や暗号資産の利用を求めていた点についても、「人民元の国際化を促進する契機と見られていたが、米軍の介入により、各国はイランとの関係維持かアメリカの制裁遵守かの選択を迫られている。結果として人民元の国際的拡大を抑制する動きにつながる」と分析した。

中国とイランは鉄道輸送網の整備を進め、海上輸送への依存低減を図ってきたが、現時点で鉄道による対中石油輸送を実施している証拠は確認されていない。

一方で、米軍による経済的圧力の効果はすでに顕在化している。試算によれば、イランは港湾封鎖により、1日あたり4億ドル以上の損失を被る見込みだ。