米国の有力な共和党上院議員2人が先週、情報機関に対し、中国共産党(中共)のAI能力をより詳しく調査・分析するよう求める手紙を出しており、技術的優位性を失った場合、国家安全保障と世界の地政学的情勢に重大な影響を及ぼしかねないと警告した。
議員が情報機関に中共AIへの注視を要求
『ザ・ヒル』が27日に報じたところによると、インディアナ州選出の共和党ジム・バンクス上院議員とアーカンソー州選出の共和党トム・コットン上院議員は21日、米情報機関の幹部に宛てた書簡を送付し、「情報収集上の重要優先事項」への再集中を求めた。
書簡の送付先は、トゥルシー・ガバード国家情報長官、ジョン・ラトクリフ中央情報局(CIA)長官、ショーン・ケアンクロス国家サイバー長官、そして国家安全保障局(NSA)長官のジョシュア・ラッド将軍である。
なお、ガバード氏は22日、稀少な骨がんを患う夫の看病のため6月30日付で退任すると表明している。トランプ大統領は、アーロン・ルーカス首席副長官が当面の職務を代行すると発表した。正式な後任は現時点では未定である。
AI・半導体の動向監視を要求
書簡の内容によると、2人の議員は情報機関に対し、最先端AI研究を主導する中共の科学者の追跡、中共のデータセンター増設の進捗状況の監視、および米国の先進半導体・半導体製造装置の密輸状況の把握を求めた。
さらに、中共のAI演算能力と人工知能能力の全面的評価のほか、いくつかの「能力の閾値」の特定も求めた。これは米国が先んじて達成すべき重要な技術的突破口、あるいは中共による技術窃取を阻止すべき重要技術を指す。
上院情報委員会の委員長を務めるコットン議員の発言は、米情報機関において相当の影響力を持つとみられている。2人による情報機関への圧力は、AI戦略の方向性に対する共和党内部の高い関心を反映するものでもある。
新型AIモデルへの注目
2人の議員はまた、AI企業Anthropicが発表した新モデル「Mythos」にも言及した。同モデルは数十年来のシステム上のセキュリティ脆弱性を識別できるとして、サイバーセキュリティ分野で高い注目を集めている。
Anthropicによると、今年4月の稼働開始以来、Mythosは約1千のオープンソースプロジェクトにおいて2万3千件超の潜在的脆弱性を検出したという。
ただし同技術はハッカーに悪用される恐れもあることから、同社の「プロジェクト・グラスウィング(Glasswing)」は一部の企業・政府機関に限定公開されている。
バンクスおよびコットン両議員は、Mythosは「始まりに過ぎない」と述べ、専門家の予測として、今後数年以内にAIはサイバーセキュリティのみならず、軍事・情報分野においても深遠な影響をもたらすと指摘した。
両氏は書簡の中で、米国がAI分野において中共に対する優位性を継続的に維持できなければ、米国の国家安全保障と世界の地政学的秩序に重大な打撃を与えることになると指摘した。リスクへの有効な対応は、情報機関が中共のAI能力とその潜在的脅威を正確に把握できるかどうかにかかっている、と両氏は述べた。
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