アメリカ連邦捜査局(FBI)のパテル長官は7月8日、2026年に入ってから、中国共産党(中共)に関係するスパイ62人を国外退去とし、さらに外国籍のスパイ113人を逮捕したと明らかにした。
パテル長官は、ソーシャルメディア「X」に投稿した動画の中で、「これらの逮捕により、国内の科学技術情報や国防機密の保護につながっている」と述べた。
そのうえで、「FBIは今後も対応を継続する」としている。
軍事・技術機密と知的財産流出の影響
アメリカ議会の下院国土安全保障委員会は、2025年2月に公表した報告書で、中共の情報活動に対応するため、FBIは平均して12時間ごとに関連する新たな捜査を立ち上げている。
報告書では、2021年以降にアメリカ国内で確認した複数のスパイ事件についても触れている。これらの事件は全米20州に及び、軍事機密の提供や商業機密の窃取のほか、中共政府に批判的な人物への越境的な圧力や司法妨害などが含まれる。
また、中国による知的財産の窃取による経済的損失について、4人家族1世帯あたり年間4千~6千ドル程度(約64万~96万円)に相当するとしている。
具体事件 国務省顧問・元海軍兵士の摘発
個別の事案としては、アメリカ国務省の顧問を2025年10月に逮捕している。この人物は、戦闘機や兵器性能に関する文書を不正に保存し、中国側関係者と接触していた疑いが持たれている。
また、アメリカ司法省は今年1月、元海軍兵士に対し、中国側のためにスパイ活動を行ったとして、200か月(約16年8か月)の禁錮刑を言い渡したと発表した。
この兵士は強襲揚陸艦「エセックス」に関する機密情報にアクセスし、兵器や推進システムなどの情報を扱っていた。司法省によると、これらの艦艇は海軍の水陸両用作戦や遠征打撃能力を支える基盤だとしている。
さらに、この兵士は1万2千ドル(約192万円)で情報を中国側に提供していた。
司法省は6月、アメリカ国民の男性が中国の情報機関のために活動していたと認めたとも発表した。この男性は中国に居住し、情報提供者と接触するためアメリカを訪れたとしている。
サイバー攻撃とドメイン押収の動き
サイバー分野でも対応が続いている。FBIは1月、北朝鮮関与の恐れのあるサイバーグループがQRコードを利用した手法で情報を窃取していると警告した。
このグループは、学術機関やシンクタンク、政府機関などを標的にしていたとされる。
また司法省は6月、中国関係者の関与が疑われる13のインターネットドメインを押収したと発表した。これらは機密情報にアクセスできる人物を標的としていた。
一方、麻薬対策について、FBIは密売組織を外国テロ組織として扱い、取り締まりを進めている。これまでにおよそ4800人を逮捕したとしている。
ただ、取り締まりの強化に伴い、組織側の動きにも変化がみられる。
5月の上院委員会の公聴会では、一部のメキシコ系組織がフェンタニルの生産や流通の拠点をカナダに移しているとの指摘があった。
アメリカ麻薬取締局(DEA)のコール長官は、ここ数か月でカナダ国内での押収量が大きく増えていると述べている。
パテル長官は、「南部国境の対策強化により、密売組織の動きが変化している。関係機関と連携して対応する」とした。
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