中露の情報収集機が連日 日本周辺を飛行 艦隊「日本一周」に続く海空の圧力

2026/08/13
更新: 2026/08/13

 防衛省統合幕僚監部は8月12日、ロシア軍と中国共産党(中共)軍の情報収集機が11日から12日にかけて相次いで日本周辺を飛行したと発表した。航空自衛隊はいずれの事案でも戦闘機を緊急発進(スクランブル)させ、対応にあたった。

7月中旬から8月初旬にかけては、中共とロシアの艦隊が日本列島を一周する形で共同航行を実施したばかりである。海空両面で日本周辺における軍事活動を活発化させる動きが続いている。

日本海のロシア機、東シナ海の中共機

8月11日午前から午後にかけて、ロシア軍の情報収集機IL-20が1機、大陸方面から飛来した。同機は日本海上空を南西へ進んだ後、京都府沖で進路を変え、再び大陸方面へ向けて北上したという。これに対し、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進し、対応にあたった。

翌12日午後には、中共軍の情報収集機Y-9が1機、東シナ海を飛行した。大陸方面から飛来した同機は、長崎県・男女群島の南方まで飛行した後、南西へ進路を変えた。さらに沖縄本島北西沖で変針し、大陸方面へ引き返した。航空自衛隊は西部航空方面隊などの戦闘機を緊急発進させ、対応した。

いずれも領空侵犯には至っていない。しかし、日本海側と東シナ海側という異なる方面で、ロシアと中共の情報収集機が連日にわたり活動したことになる。両国の航空機はいずれも情報収集機であり、自衛隊や在日米軍の通信、電波、レーダー運用などに関する情報を収集する狙いがあるとみられる。

中露艦隊の「日本一周」 宮古海峡から宗谷、対馬海峡へ

今回の航空機の活動は、海上における一連の示威的な動きに続くものである。

7月から8月初旬にかけて、中共海軍とロシア海軍は艦艇による共同航行を実施した。防衛省によると、これは2021年以降、ほぼ毎年行われてきた「海上合同パトロール」の7回目にあたる。黄海で実施された中露合同演習「海上連合-2026」に続く形で始まった。

参加したのは、中共海軍のレンハイ級ミサイル駆逐艦、ルーヤンIII級ミサイル駆逐艦、フチ級補給艦と、ロシア海軍のステレグシチー級フリゲートの計4隻である。

艦隊は7月16日未明、沖縄本島と宮古島の間にある宮古海峡を通過し、太平洋へ進出した。19日には沖ノ鳥島近海で実弾射撃訓練を実施した。その後、21日に硫黄島沖、23日には千葉県・犬吠埼沖を通過して北東へ進み、東北地方の沿岸を北上した。27日には宗谷海峡を西進し、日本海へ入った。

日本海側へ回り込んだ艦隊はさらに南下を続け、中共海軍の3隻が8月2日から3日にかけて対馬海峡を南西へ通過した。中共とロシアは4日、共同航行の終了を発表した。防衛省も同日、日本列島を取り囲むような航路を示した図を公表している。

防衛省、示威活動と評価 EEZ内を通る共同航行に懸念

注目されるのは、艦隊が日本の排他的経済水域(EEZ)内を通過する航路をとった点である。EEZ内の航行そのものは直ちに領海侵犯を意味するものではないが、防衛省は一連の行動について、「我が国に対する示威活動を明確に意図したもの」であり、「安全保障上、重大な懸念」であると明言した。

参加艦のうち、レンハイ級ミサイル駆逐艦(中国名・055型)は、全長約180メートル、満載排水量約1万3千トンに達する大型戦闘艦である。米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦を上回る規模を持つ。中国側がこうした最新鋭の主力艦を投入し、日本列島を一周する形で航行させたことは、対外的な示威の意図を示すものといえる。

領空や領海を侵犯する一線は越えない一方、日本周辺で軍事活動を継続する。海上での「日本一周」航行と、空での連日の情報収集活動は、武力衝突には至らないグレーゾーンでの圧力として位置づけられる。