中国の不正ワクチン問題をめぐって、被害者の親が「政府に絶望した」と話した(Getty Images)

不正ワクチン、有毒粉ミルク…後を絶たない不正問題、なぜ?

中国では近年、食品や薬品の安全問題が相次いだ。08年に、食品安全問題の代名詞となる有毒粉ミルク事件が起きた。化学物質メラミンが混入された粉ミルクを飲んだ乳児6人が死亡し、30万人以上の乳幼児に健康被害が出た。事件をめぐる当局の対応から、不正問題が多発する原因がうかがえる。

問題発覚後、有毒粉ミルクを生産した河北省三鹿集団と国の監督機関は責任を問われ、複数の幹部は処分された。

そのなかに、当時の国家食品薬品監督管理局食品安全監督司の孫咸澤・司長も含まれている。同氏には行政処分が下された。しかし、孫氏は11年に国家食品薬品監督管理局情報センター主任に、12年に同局の副局長に昇格した。孫氏は、14年6月から同局の薬品安全総監を務め、ワクチン企業を監督する立場になった。今年2月、同氏は定年退職した。

ほかにも国家品質検査総局のトップ・李長江党委書記は同事件で08年末に免職されたが、09年9月に新たなポストに任命され、復帰した。

フランスメディアRFIの報道によると、粉ミルク問題で免職または降格された幹部は現在、全員政界復帰した。

一方、有毒粉ミルクを飲み腎結石を患った北京の女児(3歳)の父親・郭利氏は損害賠償をめぐって企業と話し合ったが、「脅迫」の罪で訴えられ、5年の有罪判決を言い渡された。刑期満了して出所後、同氏は裁判のやり直しを申請し、無罪となった。しかしその間、妻と離婚し、娘とは現在疎遠になっているという。

同じく有毒粉ミルクを飲んで左腎に結石ができた男児の父・趙連海氏は08年、被害者の情報交換サイトを開設し、抗議活動を呼びかけたため、2年間の有罪判決を受けた。罪名は「騒乱挑発」だった。

毒粉ミルクの生産メーカー・河北省三鹿集団の田文華会長は09年、無期懲役を言い渡されたが、服役中の「態度が良好のため」、すでに3度の減刑を受け、刑期が15年に短縮された。

ワクチン問題について、2010年3月、中国経済日報の王克勤記者は「山西省ワクチン不正問題についての調査」を発表した。のちに、報道掲載を決定した同社社長、編集長が左遷された。11年7月、調査報道部は解散し、王記者は解雇された。

ネットユーザーは「孫咸澤氏の復帰はこの国の政治体制の縮図だ」と交流サイト・豆瓣網に書き込み、問題は起こるべくして起きたと指摘した。

「形だけの監督部門、利益に目がくらむ企業、そのしわ寄せを子どもは一身に受けた」

不正ワクチンが海外に流通

国営新華社通信は7日、長春長生生物科技が製造した問題のワクチンの一部は海外にも輸出されたと当局の調査結果を公表した。

調査によると、同社は有効期限の過ぎた原液を使用してヒト(人)用の狂犬病ワクチンを生産した。ワクチンに偽りの生産期日や製造番号を記したことも分かった。一部は2014年以降、国外で販売されている。

同報道は、不正ワクチンを流通した国や時期についての詳細を示さなかった。

中国メディア「南方都市報」によると、国際市場に積極的に進出してきた同社は近年東南アジア、中東、中南米、アフリカ、ロシアなど約20カ国にワクチンを輸出していた。

(大紀元ウェブ編集部)