[パリ/ブエノスアイレス 27日 ロイター] – アルゼンチンで11月30日─12月1日に開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議を前に現地入りした各国当局者の間で、貿易問題や地球温暖化を巡る文言で意見がまとまらず、共同声明の調整が難航している。各国関係者が明らかにした。
各国のシェルパ(首脳の補佐役)は共同声明に関する協議を26日に開始した。貿易摩擦が激化する中、声明で合意できなければ、各国間の溝が一段と鮮明になる。
欧州の関係筋はロイターに対し27日、「協議は困難だが、意外ではない」と述べ、「声明の進展状況については、まだ協議が続いているため、結果を予想するのは難しい」と話した。
仏財務省の関係筋も「率直に言って、緊迫した状態であるのは事実だ。今後数日の行方は不透明だ」との見方を示した。
仏財務省の別の関係者は、米国が温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」への言及を拒んでいると明らかにした。
この関係者によると、フランスは保護主義への反対や、世界貿易機関(WTO)改革および世界の通商ルールへのコミットを声明に盛り込むことを求めている。
アジアの当局者は、26日に半日の協議を行ったものの進展は得られなかったと話した。
中南米の当局者は、最終的な草案がまとまるのは29日以降になるとの見方を示した。
アルゼンチンのシェルパ、ペドロ・ビジャグラ・デルガド氏は27日、ロイターに対し「各国代表と本格的な協議を行っている。各国首脳が承認するまで文言は明らかにならない」と述べた。
同氏は今月15日、気候変動、鉄鋼、移民などの問題が議論の「最も複雑な」分野だと指摘していた。[nL4N1XR083]
今月開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議では、貿易や安全保障を巡り米中が対立し、首脳宣言の採択を見送った。
今年の主要7カ国首脳会議(G7サミット)でも、通商政策を巡り米国と6カ国の意見対立が解消されないまま、かろうじて首脳宣言が採択されたが、サミットを途中退席したトランプ米大統領が一転して宣言を承認しないと表明した。[nL4N1TC073]
一部の当局者はこれまでに、今年のG20声明はトランプ大統領の承認を得るため文言が弱められる可能性が高いとの見方を示している。
米国家経済会議(NEC)のカドロー委員長は27日、共同声明が出されるかは明らかでないとの見方を示し、「声明が出されなくても涙を流すことではない」と述べた。
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