「北極シルクロード」をめぐる覇権争い 米中間で加熱

2020/02/28
更新: 2020/02/28

地球温暖化により氷の溶解が進み、アジアと北欧を結ぶ「北極シルクロード」の道が広がりつつある。これは、米中間の地政学的競争に拍車をかけている。

北極の大陸棚は現在、米国ロシア、北欧諸国などが所有権を持っている。中国にはその権利はないが、習近平国家主席は2014年に中国を「北極近隣国」と宣言し、北極に関与してくことを宣言した。

過去40年間にわたる気象衛星の観測によると、南極の氷が肥大するいっぽう、北極の氷は縮小している。北極海の氷の厚さは1850年以降最も薄いレベルになった。上海からロッテルダムへの北海ルートができれば、従来の南方航路より4割短縮されるルートになる。また、南方航路の37日という移動日数は18日間と半分になり、航海にかかる経費の大幅な削減につながる。そして、中国は、欧米の支配下にあるマラッカ海峡やスエズ運河などを通ることなく、航海ルートの地図を塗り替えることができる。

北極圏の北は、地球の表面の6パーセントにすぎないが、米国の調査によると、まだ十分に調査されていない土地や大陸棚には、未発見の石油や天然ガスがそれぞれ13パーセント、30パーセント眠っているとのことだ。

北極大陸棚の所有権を持つカナダ、デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、ロシア、スウェーデン、米国の8カ国は、1996年、オタワ宣言に調印し、環境保護と持続的開発のための協力を推進するハイレベルの政府間協議として北極評議会を設立し、2013年には習主席が同評議会のオブザーバーに就任した。

中国は、2018年1月に「北極政策」を公表し、「海洋ルートの利用および北極の資源の探索・開発は中国のエネルギー政策と経済発展に多大な影響を与える」とした。また、4000マイル(約6400キロメートル)におよぶ「氷上のシルクロード」がおよぼす影響力の大きさを見据えて、中国は、「一帯一路」の拡大による要港への投資やインフラ開発を行おうとしている。

中国は、投資の一方で、必要に応じて自国の船籍を提供する。中国の「氷上のシルクロード」は、2019年夏、中国の国営会社で世界銀行(国際復興開発銀行)のブラックリストに載る「中国交通建設」が空港建設のためにグリーンランドの基地を買収しようとして、米中対立の一因となった。

トランプ大統領が2019年8月、グリーンランドを買うと言った際、「トランプ大統領の単なる不動産開発のシナリオ」としてウォール・ストリート・ジャーナル紙は取り上げた。しかし、グリーンランドにはチューレ米空軍基地があり、米国内防衛の要の基地となっている。同基地には、弾道ミサイルの発射装置や宇宙探索、衛星制御を行う設備がある。

中国とロシアは、エネルギー、貿易、技術、外交、防衛の領域でさらなる互恵関係を深めようと、二国間の「新時代」を宣言した。宣言には、中国からロシアに50億立方平方メートルの天然ガスをもたらす1万5000マイル(約2万4000㎞)のパイプラインの完成が表明されている。また、2024年までに550億ドルを投じて380億立方平メートル規模のパイプラインの完成も見込まれている。

2014年、当時米国財務長官だったジェイコブ・ルー氏は、中国とロシアの経済連携は、ロシアのクリミア侵略に対する西側の制裁に水を差すものだと警戒していた。一方で、両国間のプロジェクトは、ロシアの企業であるガスプロムにより、ロシアのヤマルガス田の開発を担う4000億ドルの一帯一路プロジェクトの一部だとされた。

マイク・ポンぺオ米国務長官は、中国は軍事拠点を作って他国の船籍の弊害となっているとして、中国の「行き過ぎた行為」の危険性に警鐘を鳴らしている。また、同長官は、次のように述べている。「北極が未開地帯だからといって、無法地帯になってよいことはない」

(CHRISS STREET/翻訳・大紀元日本語ウェブチーム)

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