大紀元時報

吠える中共「戦狼」 浮世絵模したイラストで日本ネガキャン展開 政府は毅然とした対応を

2021年4月29日 13時20分
葛飾北斎の代表的な浮世絵作「富嶽三十六景神奈川沖浪裏」は2017年、イタリアのローマで展示された。参考写真(ANDREAS SOLARO/AFP via Getty Images)
葛飾北斎の代表的な浮世絵作「富嶽三十六景神奈川沖浪裏」は2017年、イタリアのローマで展示された。参考写真(ANDREAS SOLARO/AFP via Getty Images)

中国外交部の趙立堅副報道局長は26日、江戸時代の浮世絵「富嶽三十六景神奈川沖浪裏」を模した、東京電力福島第一原子力発電所のALPS処理水に関するイラスト画像を、自身のツイッターに貼り付けた。日本が原発処理水の海洋放水を決定したことを意図的に揶揄し、世界世論に向けてネガティブな印象を与える狙いがあると見られる。国際原子力機関(IAEA)は、日本の決定は国際慣例に沿うとして支持しているが、中国共産党は政治問題化を図り、情報工作を繰り返している。

中国外交部報道官・趙立堅氏はツイッターで、浮世絵「富嶽三十六景神奈川沖浪裏」を模したイラストを用いて、日本の原子力発電所の処理水の放水決定をやゆする投稿をした。日本の決定に対するネガティブ・キャンペーンを展開している(スクリーンショット)

十字架の立つ沖、原子炉のような富士山、関係者がバケツで処理水を流す様子、障害を抱えるたくさんの胎児の絵などが波のなかに含まれるイラスト画像。これに加えて、趙立堅報道官は、「もし葛飾北斎が今日存命なら日本の原発処理水をとても懸念しただろう」と書き込んだ。

日本政府は4月13日、福島第一原子力発電所のALPS処理水の海洋放水する計画を発表した。これ以降、中国外務省は「太平洋は日本の下水道ではない」「(処理水を)飲んでみればいい」といった言葉で挑発し続け、ときには水俣病など過去の公害事例を挙げて、日本の取り組みに悪印象を付与するための対外宣伝工作を続けている。

このほど日本が決定した、福島第一原発処理水の海洋放出は、国際原子力機関(IAEA)や米国からは透明性の高い情報公開に基づく決定として支持されている。IAEAラファエル・グロッシー事務局長は13日に声明で、放出は「実践可能であり国際慣行に沿う」「監督された処理水の海洋放出は世界的かつ日常的に行われている」とコメントした。

米国のジョン・ケリー環境特別大使は訪韓中、韓国メディアが向けた質問に対して「米国は日本政府がIAEAと十分な協議を経て、IAEAも非常に厳格な手続きを樹立したと考える」と述べ、日本の計画に信頼を表明した。

実際、世界の原子力施設では正常な稼働時にも発生しているトリチウムを、国際基準に基づく希釈を行った後、海洋や大気中に放出している。韓国や欧米はもちろん、中国の原発も例外ではない。広東省深セン市にある大亜湾原発は、42兆ベクレムのトリチウムを放出(2002年)している。

吠える「戦狼」 その目的は

趙報道官のほか、中国官製メディアも、日本の環境政策に対するネガティブ・キャンペーンを続けている。中国共産党の機関紙「人民日報」は15日の評論で、福島県の漁業関係者の懸念を取り上げるとともに、東日本大震災後の東北地方の経済について、その復興がスローペースであることを強調した。さらに22日の同紙論説では、日本の「反原発運動団体」の関係者を取材し、「処理水の海洋放出反対」の言説を拡散した。

世論扇動を狙う中共の政治宣伝は、国内世論にも少なからず影響している。米気候変動特使ジョン・ケリー氏が訪中に関連したニュースには、「中国に来るのではなく日本に行き放水を止めてきて」などネットユーザーのコメントがSNSに書き込まれた。

日本の麻生太郎財務相に「(処理水を)飲めば」などと、外国の閣僚に対して礼儀を示すこともしない趙立堅報道官は、以前から、特に米国とその同盟国に対して好戦的かつ挑発的な態度をとってきた。中国共産党が実践する強圧的な外交「戦狼外交」の代表的な人物として知られる。2020年に感染拡大した中共ウイルス(新型コロナウイルス)の起源について、武漢で国際的な軍の交流イベントがあったことのみを根拠に「米軍がばらまいた」と一方的に主張。また同年11月には、「オーストラリア軍兵士がアフガニスタンの子供の首にナイフを突きつける」という悪意を込めたフェイク写真をツイッターに投稿している。米英加豪NZの5カ国情報協定「ファイブ・アイズ」による、香港の現状に関する中国への非難表明に対しては、「5つだろうが10つだろうが、目を突かれて失明しないよう気を付けるべきだ」と、まさに「狼」のように噛み付いた。

専門家は、中国外交部がこれほど強硬姿勢であることについて、共産党政権が国内と国外の両方に向けて「影響力戦」および「宣伝戦」を強化しているためだと分析する。日本のシンクタンク・防衛研究所(NIDS)中国研究室主任研究官である山口信治氏は、その論説のなかで、習近平体制は新型コロナウイルスに関わる国際政治を「欧米との影響力をめぐる闘争」とみなし、外交部に対しても、共産党が望むストーリーの拡散を強化しているという。

これには、米国や、日本を含むその同盟国の政策の評判や印象を引き下げる意図も含まれる。さらに、党幹部や外交官の人事は、外交に関する実務経験を重視するよりも、対欧米を想定した「闘争精神」を重視し、闘いに打ち勝てる強硬な人物が起用される傾向にあると指摘した。実際、趙報道官は、その好戦的な資質を買われて、駐パキスタン中国大使館の外交官から外交部報道官に抜てきされた人物である。2020年2月には、「人民日報」紙上で「火力全開」と絶賛された。

山口氏は、こうした中国共産党の「戦狼外交」は必ず各国の反発を招くとして、「(中国にとって)完全に逆効果」と指摘する。しかし、中国のもつ専制的な性質から方針の修正はすぐにはできず、今後もこうした強硬な姿勢は続くと分析する。

米国やオーストラリアは、中国の「牙を剝く」戦狼の態度に毅然とした態度を示している。前出の、在アフガン駐留豪兵士の誹謗中傷には、モリスン首相から「我々の偉大な軍に対する中傷だ」「中国政府は完全に恥じるべきだ」と会見で抗議の意を表明した。コロナ起源を米国に責任転嫁しようとした動きについて、当時のポンペオ米国務長官は「くだらない噂を流布した」と非難し、駐米中国大使を呼び出して公式に抗議している。

日本では、福島第一原発処理水に関する中国政府の批判に対して、一部の閣僚や議員は硬派な態度を示している。麻生太郎財務相は16日の会見で、趙報道官の「海は日本の下水道ではない」との発言に「では中国の下水道なのか」と返した。中山泰秀防衛副大臣は「宇 宙 は 中 国 の ゴ ミ 箱 で は な い(原文ママ)」とSNSで意見した。茂木敏充外相は28日の衆院外務委員会で、福島県選出の小熊慎司議員からの質問を受けて「中国に対して厳重に抗議する」「心ない書き込みは、あってはならない」と述べた。

外務省の吉田朋之外務報道官は29日の記者会見で、この問題の論点を整理した上で、日本の主張を述べた。「国際社会に高い透明性を持って積極的に対応してきた日本側の真摯(しんし)な努力に対し、(中国側の批判は)何ら科学的な根拠にも基づかず一方的かつ感情的にあおるもの」「果たして国際社会がどのように見ると思っているのか」と、挑発的な中国の態度に疑問符をつけた。

趙報道官はこれを受けて、29日の記者会見で、日本政府からのツイッターに投稿した画像の削除要請を拒否すると述べた。さらに、中国は「国際社会や世界300あまりの環境団体の懸念」を代弁しているとして、浮世絵を模倣した中傷的なイラストを掲載し続けることの正当性を主張した。

日本の原発処理水海洋放出について、中国共産党は科学的な証拠を重視することなく、中国共産党の都合に叶う物語を宣伝して、政治利用を継続する構えだ。民主主義社会の自由な言論空間を利用して、共産党はそのイデオロギーの拡散をしている。日本に対するネガティブ・キャンペーンの継続を明示している以上、日本当局はこれを放置してはならないだろう。国家の尊厳を中傷するような中国共産党の「戦狼外交」に、首脳や議員は強く、即時にノーを突きつけるべきだ。

(佐渡道世)

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